アメリカ退役軍人省 (VA)のスキャンダル(※1)によって、国は長い待ち時間に気付いた。その間退役軍人の患者は治療を我慢しなければならなかった。しかし、退役軍人の医療制度に欠陥が生じたのは今に始まったことではなく、彼らは今でもずっと苦しんでいる。
アメリカ退役軍人省によると、2013年1月のある1晩だけで、57,849人のホームレスの退役軍人が路上に寝ていた。それは不名誉なことで、ベトナム戦争の退役軍人で写真家のジェリー・トヴォ氏 (69)は、 ホームレスの退役軍人のプライベートの写真を明らかにすることで、その不名誉を公表しようとしている。こうした写真は彼が国中で撮影してきたものだ。
トヴォ氏は、1966年に徴兵され、2年間務めた。ほとんどは訓練係の軍曹として過ごした。トヴォ氏は、ハフィントンポストUS版にメールでそう答えている。セントルイス生まれのトヴォ氏は、大学で写真撮影を覚えた。約3年前のことだ。彼が退役軍人のホームレスがニュースで取り上げられ始めたのに気付いた時は、その話題がそれほど価値のあるものだとはまったく思わなかったが、そのテーマに身を委ねることを決意した。
「私は、表情にその人の人生が現れている人を撮影するのが本当に好きなんだと自分で気付いたんだ」とトヴォ氏はハフポストに語った。「あらゆるしわやあばたが、何かしらを経て出来たものだ。私は、ホームレスたちの肌に、安らぎを感じるような色調の撮り方が好きだった」
トヴォ氏は、ビデオや写真撮影を通じて、――それらは、彼のウェブサイト「彼らは英雄だった」に掲載されている――彼ら1人1人の物語を綴ることができるようにと望んでいる。その物語によって、ホームレスの退役軍人の集団がいることに気づき、関心が高まるだろう。
スキャンダルが続いたVAにも功績がある。退役軍人のホームレスの数は2010年から2013年の間に24%減った。これはミシェル・オバマ大統領夫人の成果でもある。6月4日に大統領夫人は約20人の市長をホワイト・ハウスに招いた。彼らは「退役軍人ホームレスをなくす市長のチャレンジ」に関わっている、とAP通信は伝えている。
ミシェル夫人は、「退役軍人のホームレスを2015年までになくす」という政府の公約を再確認した。そして、路上から全ての退役軍人を救出することがすぐにでも必要だと強調した。
AP通信によると、ミシェル夫人は「退役軍人が路上にキスをしてふるさとに帰ってくるとき、彼が路上でずっと寝なければいけないということは受け入れ難い」と述べた。
トヴォ氏は、国中でホームレスの退役軍人を記録することに専念してきた。彼はミシシッピ川の東側のいたるところをほとんどカバーしたと言った。
トヴォ氏の写真は大きな反響を読んだ。彼の写真は、2013年7月から2014年1月までミズーリ歴史博物館に展示された。トヴォ氏によると、展示会には約36,000人が訪れたという。
ホワイトハウスは、2015年までにはホームレス退役軍人の「根絶」を宣言できると依然として楽観的なのに対し、トヴォ氏や他の支持者は、この危機がそう簡単に解決するとは思っていない。
退役軍人の支援団体「アメリカ退役軍人イニシアティブ」のスティーブ・ペック理事長は、Military.comに次のように語った。「まだ退役軍人のホームレスが解消するまでに解決しなければならない問題は山ほどある、と。
「VAがその問題は終わったというだけでは終わったことにならない」と、ペック氏はMilitary.comに語った。「我々はまだ多くの窮状を目にしている」
トヴォ氏は、人々が自分の写真を見ることで、これらの退役軍人の苦労を理解し、もっと有効な解決策をひらめくだろうと希望を持ち続けている。
「この人たちは……血の通った生身の人間だ。彼らには心も魂もある」とトヴォ氏は語る。「彼らに必要なこと、それはホームレスになった原因を完全に根絶するために必要な、支援だ」
※1 2014年4月、アメリカの退役軍人病院で患者の生命を脅かすほど診療に遅れが生じていた問題が発覚、シンセキ退役軍人省長官が辞任した。
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