天皇、皇后両陛下は1月26日午前、政府専用機でフィリピンに向かう前に、羽田空港での出発行事で「膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン市民が犠牲になりました」などとおことばを述べられた。NHKニュースが報じた。
天皇陛下は、「フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました。中でもマニラの市街戦においては、膨大な数に及ぶ無辜(むこ)のフィリピン市民が犠牲になりました」としたうえで、「私どもは、このことを常に心に置き、この度の訪問を果たしていきたいと思っています」と話されました。
(天皇陛下 フィリピン訪問出発前におことば NHKニュースより 2016/10/50)
■両陛下、フィリピン訪問の日程
訪問は、皇太子ご夫妻時代の1962年以来、54年ぶりとなる。国交正常化60年を迎えて友好親善を目的に、国賓として招待されたが、太平洋戦争の激戦地への慰霊の旅となる。
皇太子夫妻時代のフィリピン訪問で、マニラに到着された天皇、皇后両陛下。右はマカパガル大統領(当時)夫妻=1962年11月05日(c)時事通信社
両陛下は27日にフィリピン人の戦没者を悼む「無名戦士の墓」を訪れ、夜にアキノ大統領主催の晩餐会に出席する。29日は日本人戦没者を悼む「比島戦没者の碑」に供花し、30日に帰国する予定だ。主な日程は以下の通り。
26日午前 政府専用機で羽田空港発
午後 マニラ着。青年海外協力隊員と懇談
27日午前 マラカニアン宮殿で歓迎式典。アキノ大統領と会見。リサール記念碑に供花
午後 英雄墓地で供花。フィリピン側戦没者を慰霊
夜 大統領主催の晩さん会
28日午前 フィリピン人元留学生、日系人、在留邦人らと懇談
午後 フィリピン人看護師候補者らが学ぶ語学研修センター訪問
夜 日本大使夫妻主催レセプション
29日午前 カリラヤへ。日本政府建立の「比島戦没者の碑」で供花
午後 ロスバニョス着。国際稲研究所を視察後、マニラへ
30日午前 政府専用機でマニラ発
午後 羽田空港着
(2016/01/26-05:41)
(時事ドットコム:両陛下の主な日程(現地時間)より 2016/01/24 19:01 )
天皇、皇后両陛下を歓迎するために掲げられた横断幕=2016年1月25日、フィリピン・マニラ (c)時事通信社
■太平洋戦争の激戦地となったフィリピン
フィリピンには、ルソン島やレイテ島など太平洋戦争で日米が激しい戦闘を行った場所が多くある。毎日新聞によれば、同国での日本人戦没者は51万8000人。戦闘に巻き込まれて亡くなったフィリピン人は100万人を超えるとされる。
1941年12月8日、日本軍は真珠湾攻撃の直後にアメリカの植民地だったフィリピンを攻撃し、翌年1月に首都マニラを占領。フィリピンを軍政下に置いた。米軍は44年10月に上陸作戦を開始。フィリピン人抗日ゲリラの抵抗もあり、日本軍は壊滅状態となった。51万8000人の日本人が亡くなり、フィリピン人の死者は100万人を超えるとされる。52年から戦後賠償の交渉が始まり、56年に賠償協定が発効。国交を回復した。
(皇室:両陛下、きょうフィリピン訪問 友好、未来へつなげ 戦死の父、足跡追い 現地で進学支援 - 毎日新聞より 2016/01/26)
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