斎藤工さんが名を連ねた経緯とは? ウクライナ産アニメ映画のクラファンに933万円集まる

ウクライナの長編アニメ映画『THE STOLEN PRINCESS(英題)』の日本公開をめぐるクラウドファンディング。映像関係者からも応援の輪が広がりました。
|
Open Image Modal
斎藤工さん(2019年06月撮影、左)と『THE STOLEN PRINCESS(英題)』のポスター
時事通信社/Elles Films提供

ウクライナ産アニメ映画の日本上映を実現するためのクラウドファンディングが、11月30日に終了した。目標金額の1700万円には到達しなかったが、1カ月間で約933万円の出資が集まった

2023年春〜夏ごろに、全国のミニシアター系で50館程度で日本語吹き替え版の公開を目指している。ウクライナ避難民らに向けて日本語字幕付きの現地語バージョンをイベント等で上映することも検討中だ。

クラウドファンディングの支援者には、俳優の斎藤工さんも名を連ねたが、それは主催者との思いがけない出会いがきっかけだったという。

■SNS上で呼びかけが拡散。最後の10時間で400万円集まる

クラウドファンディングを呼びかけた「Elles Films」代表の粉川(こかわ)なつみさんは、以前働いていた映画会社を辞めて「ほぼ全財産」を投げ打って、ウクライナの長編アニメ映画『THE STOLEN PRINCESS(英題)』の配給権を獲得した。ロシア軍の侵攻に苦しむウクライナの人々を勇気づけるために、何か自分にできることはないだろうかと考えた結果だった。

SNS上で呼びかけが拡散したことで、支援は終盤に加速した。最後の10時間で400万円近く集まるほどだった。

Open Image Modal
クラウドファンディングを呼びかけた粉川なつみさん(2022年10月22日撮影)
Huffpost Japan/Kenji Ando

ハフポスト日本版の取材に対し、粉川さんは「当初は支援もなかなか集まらず、海外アニメファンの方や、ウクライナの情報を発信している方にDMを送って情報提供していました。そうした方がどんどんSNSで情報を拡散してくれたことが、大きな支援につながりました」とコメントしている。

終了後も「クラウドファンディングに参加したい」という声が相次いだことから、別の形で継続することになった。Elles Films公式サイト粉川さんのTwitterで方法を告知している。

 

 

■「もしかしたら斎藤工さん?」道ばたで出会った男性に話しかけると……

今回のクラウドファンディングをめぐっては、多くの映画関係者も後押しした。実写版『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督は、作中に描かれる「自由への希求」は、「ウクライナの現実に思いを馳せずにはいられない」と推薦コメントを出した。

このほか、『シン・ウルトラマン』の主演などでも注目を集めた俳優の斎藤工さんもクラウドファンディングの出資者の1人として名を連ねた。粉川さんによるとこんな裏話があるという。

「10月下旬、東京・有楽町を歩いていたところ、道の向こう側から、オーラが違う男性が歩いてきたんです。『あれ、もしかしたら斎藤工さん?』と思いましたが、初対面でいきなり話しかけるのは失礼だと思って、そのまま一度はすれ違いました。でも、当時は出資が全然集まっていなかったので意を決して、走って追いかけて声をかけたんです」

「びっくりされたと思うんですが、私が『THE STOLEN PRINCESS』のチラシを渡してクラウドファンディングを募っている件を話すと、10分ほど立ち話をしながら親切にアドバイスをしていただきました。Netflixのアニメ映画などを題材に出資を集める工夫などを聞いたほか、推薦コメントをいただけることになりました」

「その後、斎藤工という名前が出資者の中にいることが分かって私もびっくりしました。本人に問い合わせたところ、映画の撮影などで多忙のため、クラウドファンディング完了までにコメントが間に合わず、まずは出資されたとのことでした」