ミャンマーの貧困層におけるFacebookの影響力とは?

国内のFacebookユーザーはこの1年間で倍以上に増えています。
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ミャンマーでは、近年のスマートフォンの普及拡大に伴い、オンライン上で友人や家族と連絡をとることができるSNSアプリの人気が高まっている。

メッセージを送る手段としてはFacebook Messenger、またはViberが主に使われている。

特にFacebookに関しては、都市部のスマートフォン所持者なら誰もがアカウントを持っているのではと思ってしまうほどに普及率が高い。

都市部に住む人だけでなく、貧困層の間でもFacebookは広まりつつある。

ミャンマー人にとってFacebookはどのような存在なのだろうか?

貧困家庭から聞いた実話をもとに、その動向に迫りたい。

いとこの写真で旦那をゲット!ツールはなんと、Facebook?

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まずは、貧困層家庭で聞いたFacebookにまつわる驚きの話から。

インタビューしたお母さんには、一人娘がいる。

旦那さんを亡くし、女手一つで毎日働きながら大切な娘を養ってきたたくましいお母さんだ。

「これが私の娘よ。」と自慢げにお母さんが見せてくれたのが、結婚式の写真(上)だ。

わ~きれい~!旦那さんもかっこいい!

とお母さんに言うと、驚きの結婚秘話を教えてくれた。

なんと、娘さんと旦那さんの出会いはFacebookだったのだ。

Facebookでたまたまどちらかが友達を追加したのだろう。

ミャンマーでは、知らない人でもすぐに友達として追加してしまうのが普通だ。

お互い顔もわからないまま、毎日電話していたらしい。(ミャンマーでは顔写真をプロフィール登録しない女性が少なくない)

まるで昔の映画のようだ。

毎日電話を重ね続けた結果、旦那さんが娘さんの顔を見てみたくなった。

ここまでお互いの顔を知らないことに驚きを隠せないが...。

ついにお披露目...?

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そしてとうとう、娘さんが旦那さんに写真を送る日が来た。

しかし、なんと送ったのは自分の写真ではなく、いとこの写真(上)だった。

向かって右が自分と偽ったいとこ。

似ているような、似ていないような...。

写真を見た旦那さんは、さらに惚れ込んでしまった。

そしてついに、彼女の自宅を訪問することになった。

ちなみに、ミャンマーで彼氏が彼女の家を訪れるということは、結婚前提の交際ということを意味する。

通常、カップルは結婚するまで2人で旅行もできない。

いとこと娘さんは同じ家に住んでいるのだから、なにが起こるかは予想がつくだろう。

完全に昼ドラの展開だ。

写真を見て家にきた旦那さんは、当然のことながら、いとこを電話相手と勘違い。

しかし、本物(本物の"いとこ")を見た旦那さんは絶望。

ミニスカートで化粧が濃くて、まったく好みではなかったらしい...。

そして、その隣にいた娘さん(つまり、電話していた相手)をふと見ると、ミャンマーの伝統的な服を着ていて女らしく、話もすごく合うではないか。

旦那さんは、一目惚れしてしまった。

...いや、これはもはや一目惚れではない。電話でずっと話していたのだから。

何も事情を知らず写真を使われ、いきなり知らない男に「タイプではない」と言われたいとこの身にもなってほしいところだが...作戦成功、といったところだろうか。

「え、大事な一人娘がFacebookで出会った男と結婚するなんて、お母さんは許せたの?」

思わずそう聞いてしまった私に、こう一言。

「言葉がでなかったわよ。だけど、彼があまりにも娘に惚れているから仕方なかったのよ。」

はぁ...私も言葉が出ません...。

まさかこんな話が出てくると思わなかったよ、お母さん。

ミャンマーにおけるFacebook事情とスマホ普及の現状

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▶︎Facebook事情

2016年7月13日発行のミャンマータイムズによれば、ミャンマー国内のFacebookユーザー数はこの1年間で倍以上に増大。

1か月あたりのActive User数は、19~25歳を中心に、全人口の19%にも及ぶ970万人に到達したそうだ。

ただし、その970万人のActive Userのうち、9割が主要都市であるヤンゴンやマンダレーからのアクセスである。

とはいえ上記のように、貧困層の間でも、特に若者の間でFacebookが広まり、結婚のきっかけにまでなっている。

Facebookの利用者は、今後もますます拡大していきそうだ。

▶︎スマホ普及

そもそもミャンマーでスマホが普及し始めたのは、ごく最近のこと。

2013年時点では、ミャンマーの携帯電話利用者は全体のわずか10%であった。

国営通信会社MPTの一社独占であり、携帯番号を登録するためのSIMカードだけで数万円もしたことが原因だ。

そのためミャンマーではなかなか携帯電話が普及せず、富裕層以外の人々は、バス停にあったオペレーター付きの公衆電話で電話をかけていた。

しかし2013年に政府は市場開放を決断、ノルウェーのTelenor、カタールのOoredooがミャンマー市場に参入した。MPTの独占状態は破られたのだ。

SIMカードの価格は100分の一以下の150円となり、通信料も半分以下に下がった。

更に、中国の格安スマートフォンが普及し、安いものだと3,000円程度から入手できるようになった。2017年には携帯普及率が90%を超えたと言われている。

このスマートフォンの爆発的な普及に伴って、Facebook利用者も急激に増えたのだった。

まとめ;ミャンマーの貧困層とスマホ、今後の展望

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経済の発展が目覚ましいミャンマーでは、今後もますますスマホの普及が拡大し、それに伴いFacebookをはじめとするSNSアプリの利用者が増加すると考えられる。

世界では、近年、スマホアプリを通じて途上国の社会課題を解決しようとする取り組みが見られる。

例えば、インドネシアのベンチャー企業Rumaは、アプリを利用して個人商店の事業主の収入を増やす事業を行っている。

具体的には、Rumaと契約した個人事業主が、同社の提供するアプリを利用して、自らの商店の顧客の電気料金支払い等を代行し、その代行費用の半分を収入として得ている。(1)

このような世界的トレンドは、近年ミャンマーでも徐々に生まれつつある。

例えば、ヤンゴンにあるGreenovator社は、農業に関するニュースや求人情報、市場ごとの価格情報を掲載した情報サイト「Green Way」を運営している。サイト内では、農民同士が農業に関する質疑応答を行えるコーナーもある。同社は2016年1月にGreen Wayのアプリもリリース。農家の人口が多いミャンマーでは重宝されることだろう。(2)

また「Mr. Finance」というアプリは、Facebook Messengerを通じて金融リテラシーに関する情報をbot形式で配信している。ユーザーは24時間いつでも質問を投稿し、瞬時に適切な回答を得ることができる。(3)

上記2つのような取り組みは、貧困層の間でもスマホの利用者が急増するミャンマーで今後増えていくと考えられる。

その一方で、普及の大きな障壁となっているのは、利用者のリテラシーだ。

固定電話から一気にスマホに移行したためか、ミャンマーではインターネットの概念が普及していない。

弊社が2017年に行った調査では、低所得者層や農村部のスマホ所有者のうち、アプリのインストール方法を知っている人は15%、ブラウザー(インターネット検索)を使う人はわずか4%しかいないという結果が出ている。基本的には、電話をかけることにしかスマートフォンを使っていないのだ。

スマホやSNSアプリは、最大限に活用すれば人々の生活に大きな変化を与えうる。

スマホ利用者が増える一方で、リテラシーの普及が追い付かないミャンマーでは、これからどのような取り組みがなされ、どのような変化が起きるのだろうか。

今後の動向に注目したい。

【参考】

取材協力:Socio Lite Foundation

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私たちはミャンマーでマイクロファイナンスによる貧困削減をITで支援しています。農村やスラムに暮らす人々が、どのような生活をおくり、何を感じているのか。どのようなビジネスをしているのか。ニュースや統計データからは感じることができない、ミャンマーに生きる人々のリアルな姿をお届けします。