『ザ・インタビュー』の公開中止、「相談して欲しかった」 オバマ大統領

オバマ米大統領はソニー・ピクチャーズエンタテインメントに対するサイバー攻撃について、北朝鮮の犯行との見方を示し、対抗措置を講じる考えを表明した。
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Reuters

オバマ米大統領は19日、ソニー

またサイバー攻撃の引き金となったとみられる金正恩・北朝鮮第1書記の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー」の公開中止をSPEが決定したことについて、間違った判断との認識を示した。

サイバー攻撃によりソニーは多大な被害を受けたとしながらも、公開中止は悪い前例となり得るとの考えを示し、決定前に自身に相談して欲しかったと語った。

大統領は年末の会見で「米国は、どこかの独裁者に検閲を科されるような社会であってはならない」とし、「相応の対応を行う。場所、時間、方法などはわれわれが決定する」と言明した。

SPEのマイケル・リントン最高経営責任者(CEO)兼会長は、CNNのインタビューで、映画の公開中止の決定は間違いではないと述べた。

映画館側が上映しないとの意思を伝えてきたので他に選択肢がなかったと経緯を説明。「われわれは屈したわけではない。米国民にこの映画を見て欲しいと常に願ってきた」と述べた。

ソニーは大統領のコメントを受けて「この映画を見たいと思う人すべてがその機会を得ることを引き続き希望している」との声明を発表。早急に劇場公開以外の代替策を検討する考えを示した。

大統領の会見に先立ち、連邦捜査局(FBI)はSPEへのハッカー攻撃について、北朝鮮政府が関与していたと断定。政府支援による許容できない「脅迫」行為だと非難した。

オバマ大統領は会見で、北朝鮮単独の犯行のようだと述べている。

米政府は北朝鮮によるサイバー攻撃抑制への支援を得るため、日本、中国、韓国、ロシアとの協議に着手した。

FBIは攻撃に使用された悪意のあるソフト(マルウエア)を分析した結果、北朝鮮による過去のサイバー攻撃で使用されたものと極めて類似しているとの見方を示した。

ただ破壊的な攻撃の特質に加え、脅迫して映画の公開中止に追い込む手段は、過去の攻撃とは異なるとも指摘した。ただ北朝鮮の犯行だと断定した詳しい経緯については明らかにしなかった。

これに対し、北朝鮮外交官はロイターに対し、北朝鮮政府はSPEに対するサイバー攻撃に関与していないと反論した。

オバマ米大統領が取り得る対抗手段について、専門家はサイバー攻撃による報復や経済制裁、犯行に関与した人物への刑事告発、韓国への軍事援助拡大などを指摘する。テロ支援国家に北朝鮮を再指定するとの見方もある。

だが北朝鮮はすでに核問題をめぐり大規模な制裁を受け国際社会から孤立しており、効果は限られるのが実情だ。過度に厳しい措置を講じれば、北朝鮮をかえって刺激し、サイバー戦争へとエスカレートする危うさをはらむ。[ワシントン 19日 ロイター]

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