インドのレイプ被害者を追ったドキュメンタリー、裁判所が放映差し止め命令

インド当局から放映差し止めを命じられたBBCのドキュメンタリー番組「India's Daughter(インドの娘)」のプレミア試写会が3月9日、ニューヨーク市立大学バルーク校で開催され、メリル・ストリープさんらが参加した。

インド当局から放映差し止めを命じられたBBCのドキュメンタリー番組「India's Daughter(インドの娘)」のプレミア試写会が3月9日、ニューヨーク市立大学バルーク校で開催され、女優のメリル・ストリープさんやこの作品のプロデューサーも務めたインド出身の女優フリーダ・ピントーさんらが出席した。

このドキュメンタリーは、2012年12月にデリーに当時23歳の医学生だったジョティ・シン・パンディさんが犠牲となったレイプ事件を取り上げている。彼女は婚約者の男性と映画を見た帰りに、タクシーがつかまらないのでバスに乗車。その車内で、婚約者とともに複数の男たちに襲われて強姦された末に外に放り出され、そして事件で受けた内臓損傷がもとで約2週間後に亡くなった

自身もレイプ被害者であるレスリー・ウドウィン氏が監督を務めたこの作品は、3月8日の国際女性デーにインドでテレビ放映される予定だったが、裁判所命令で放映差し止めとなった。差し止めの理由は「社会的秩序の維持」。有罪判決を受けた暴行犯の1人がインタビューに応じて「暴行を受けたのは女性自身のせいだ」と語っていることが、激しい議論を呼んでいたのだ。

「レイプされる責任は男性より女性の方がはるかに重い」と、暴行犯は映像の中で述べている。「きちんとした女性は、夜の9時に外をうろついたりしない。女性は家で家事をするものであって、夜にだらしない格好でディスコやバーをうろつき、おかしな行動をするものではない」

上映終了後に行われた女性の権利に関するパネルディスカッションにはウドウィン監督、ストリープさん、ピントーさんらが参加し、映画で描かれている暴力が世界的なレベルで与えている文化的影響を強調した。

「暴力よりも悪いことがあります。それは、女性蔑視を理由に許されている暴力です」とストリープさんは述べている。

また、ピントーさんは「これはインドだけの問題ではありません。世界中のほぼすべての国が抱えている問題です」とAP通信に語っている。「2015年に、女性に対する性的暴行がまったく起きていない国は1つもないのです」

そしてウドウィン監督は「この病気の根源はレイプでも人身売買でもありません」と述べる。「病気の根源は、男女の不平等です。レイプや人身売買といった問題は、男女不平等という病原が引き起こしているものなのです」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

【関連記事】

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています