映画「デイ・アフター・トゥモロー」の悲劇は実際に起きるかもしれない(研究結果)

ただし、、グレープフルーツサイズの雹が東京で降ることはない。

2004年の大ヒット映画「デイ・アフター・トゥモロー」では、気温の変化によって海洋の循環に異常が生じ、地球が破滅的な影響を受ける。

この海洋循環は「大西洋子午線逆転循環」と呼ばれる。しかし当時、研究者たちは、映画のストーリーは事実に基づいたものではないと述べていた。

ところが、先週科学雑誌「ネイチャー・サイエンティフィック・レポート」で発表された研究で、映画で描かれた海洋循環の崩壊は、当時考えられていたよりも起こる可能性が高いということがわかった。

『デイ・アフター・トゥモロー』で波がマンハッタンをのみこむシーン。


大西洋子午線逆転循環は、カリブ海の水を北へ運び、そして北の冷たい水を南に移すことでヨーロッパや東海岸を暖かくする。報告書は、地球規模の気候変動が地球に与える影響を考慮すると、大西洋子午線逆転循環が崩れてしまった場合、15〜20年間気温が下がる地域がある、と指摘している。

つまり世界は「デイ・アフター・トゥモロー」が描いたような危機を迎えるかもしれないのだ。

「地球温暖化が原因となって大西洋子午線逆転循環が崩れるという展開は、予想できないことでも、想像もできないことでもありません」と、論文の著者でイギリス・サウスハンプトン大学で海洋物理学と気候物理学を教えるシブレン・ドリファウト教授ワシントン・ポスト紙に語っている。その場合、ヨーロッパでは気温が下がり、アメリカ東海岸で海面が3フィート上昇する可能性があるという。

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1996年1月9日の朝、アメリカ北東部の大部分を襲った大吹雪の後にマンハッタンを出るスタテン島のフェリー。

「そうなれば、何億人もの人が影響を被るでしょう」と、ドリファウト教授は話す。

ヨーロッパは、地域によっては最大摂氏8.4〜11.2度程度気温が下がるという。また、ヨーロッパ北西部では、2.8〜3.4度ほど下がるとドリファウト氏は語る。彼はこの気温の変化を、中世後半にヨーロッパで起きた「小氷河期」になぞらえる。

ドリファウト教授は、「デイ・アフター・トゥモロー」の通りに、大西洋子午線逆転循環が「突然崩壊」する可能性は5%程度と見積もっているが、それでも「影響の大きさを考慮すれば、深刻な問題だ」と語った。

映画の他の部分については、「誇張されていて、物理の法則に沿ってさえいない」と教授は話している。例えば、大西洋子午線逆転循環が崩れても、グレープフルーツサイズの雹が東京で降ったり、複数の竜巻がロサンゼルスに壊滅的被害を与えるような事態にはならないそうだ。

3月に発表された研究によれば、この1000年の間に大西洋子午線逆転循環は劇的に弱まった。グリーンランドの氷床が溶けて流れ出した大量の水によって、海の循環が遅くなったからだ。

今後、この流れを食い止めるにはどうすればいいのだろうか?

アメリカ大気研究センターの気候・地球力学研究所の科学者、アイシュエ・フー博士は、研究結果を正しく理解することが第一歩だと話す。

フー博士は「ドリファウト教授が描くシナリオは、今すぐ起きるものではないでしょう」と述べながらも、温室効果ガスが原因となって、大西洋子午線逆転循環が崩壊することは起こり得る、と警鐘を鳴らした。これを防ぐためには、温室効果ガスの削減に重点的に取り組むことから始めるといい、とフー博士は勧めている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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