何もやらないうちに、諦めることはしたくない
アメリカ5年、タイに11年滞在されていますが、田中さんが海外に出たきっかけを教えて下さい。
19歳でアメリカの大学に留学したことがきっかけです。
もともと英語が苦手だったのですが、高校2年時に父から、「成績が上がったら、カリフォルニアに連れて行く」と言われたんです。
それでアメリカ渡航を目指して頑張りましたね。
無事行けることになったのですが、英語が嫌いなわりに現地で周りが話している内容が結構わかったんです。
「勉強すればもっとわかるようになるかも!」と思って、英語の習得に励むように。
そうしているうちに、アメリカの大学に進学を真剣に考え始め、1年間の短期留学を経てアメリカの大学に入学しました。
どんな学生時代を送っていたのでしょうか?
とにかく勉強しかしていませんでした。
それ以外のことをする余裕がないほど、周りの学生も勉強していましたね。
キャンパスに5階建ての図書館が3棟あるのに、毎日全て満席。
日本ではアメリカの学位が認められていないので、卒業しても高卒扱いなんです。
だから日本でも通用するように、何か結果を出したいと思って優秀生を目指していました。
努力の甲斐あって優秀生として卒業できたのですが、相当自分を追い込んだので、卒業間近に自立神経失調症になるほど。
本当に頑張った大学生活でしたね。
強い意志を持って大学時代を過ごされていたことが伝わってきます。
英語も大学進学もそうですが、何もやらなかったら、できるかできないかなんてわからないということを学びました。
やってだめだったらわかるんですけど、何もやらないうちに判断するのはもったいない。
私はやったことがないことに対しては、絶対に最初から「できない」と考えないようにしています。
「できない」のか、「やらない」だけなのか、という違いは大きいのではないでしょうか。
そこは明確にした上で物事を判断することが重要だと思います。
日本での社会人経験はあった方が良い
大学卒業後はどちらに就職されたんですか?
まずは日本で社会人経験を積みたいと考えていたので、日本に帰国してメガネを取り扱う会社の海外事業部に入りました。
日本はものづくり大国なので、製造業は一度経験したかったんです。
また、大学レベルの英語を習得したので、次はビジネスレベルを習得するために、英語を使える仕事を探してこの会社に行き着きました。
大きい会社ではなかったので、納期や在庫の管理、オーダー等も全て自分でやりましたね。
大変でしたが、最終的には自分ひとりで全部出来るというとこまでやり切りました。
アメリカでそのまま働くのではなく、日本での社会人経験を選ばれた理由を教えて下さい。
ゆくゆくは海外で働くとしても、まずは日本での社会人経験があった方がいいと思ったからです。
日本と海外を比べると、仕事に対する責任感の重みがまったく違います。
日本人は自分の仕事に責任を持って、最後までやり抜く姿勢を持っています。
日本製品によくその精神が現れていると思うのですが、どんなに小さな部分でも、使い勝手や使用感にこだわり抜いて作られていますよね。
まるで職人仕事です。
それを知らずにただ海外で働いても、自分の仕事人としてのスキルはどこまで高められるのだろうと疑問に思い、日本企業で仕事に対する姿勢を学ぶことにしました。
メガネ企業に勤務した後は、どうされたのでしょうか?
5年間勤務した後に退職し、その後は日本で4回転職しました。
色々な会社を経験しましたが、いくら役職が良くても、ずっと社内にいたり環境が整いすぎている会社は、私にとっては物足りなかったんです。
自分で開拓して色んなことができる会社の方が、私には合っているのだと思います。
仕事は一日のうちの大半を占めるのだから、楽しい方が絶対に良いじゃないですか。
もちろん仕事としての責任を全うすることは最低限必要ですが、仕事は会社のためではなく自分のためにするもの。
そういう基準で仕事は選ぶようにしています。
私の代わりがいない仕事だから、頑張れる
現在はファイナルシャルプランナーとしてタイで働かれていますが、きっかけは何だったのでしょうか。
メガネ企業で働いた後に英会話学校で教師をしていた頃に、突然父が「海外にロングステイをしたい」と言い出したことがきっかけです。
色々調べていくと、ビザや不動産に関する会社はあるけど、資金を運用する会社があまりない。
これは絶対に必要な仕事だと思い、「将来的に、ロングステイヤーの方々を金融面でサポートしたい」と考えるように。
そして、英会話教師の後に人材会社と通信事業会社で働き、そろそろ辞めようと思った頃に、今の会社からお声がけいただいたんです。
世界規模で資金運用をサポートしているこの会社だったら、私のやりたかったことができると思いました。
でも、条件がタイ勤務。一度もタイに行ったことがなかったので、面接も兼ねて現地に1週間滞在してみたら、すっかり気に入ってしまって。
親には「タイ旅行に行ってくる」と伝えていたので、帰国後の成田空港から親に電話して「今度タイに引っ越す」と言ったら驚かせてしまいましたね(笑)。
実家のある名古屋に帰って家族会議をしたのですが、「もう決めたんでしょ? 事後報告だし、しょうがないから頑張ってこい」と送り出してくれました。
今のお仕事のモチベーションを教えて下さい。
自分に知識があって、それを共有することによってお客様に喜んでもらえることが嬉しいですね。
資産運用って少しわかりにくいので嫌煙しがちですが、将来の自分の身を守るためにも絶対に理解しておいた方が良いものです。
また、短いスパンではなく10年、20年と長期でお客様と一緒に人生プランを考えていけることもやりがいがありますね。
有り難いことに、今お仕事を依頼して下さっている方たちは、「田中さんだからお願いしたい」と仰って下さる方ばかり。
他の人に替えがきかない仕事というのは、一番のモチベーションになっているかもしれません。
今まで色々な仕事をしてきましたが、この仕事は天職。
ずっとやっていきたいと思っています。
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プロフィール
田中ゆき恵(たなかゆきえ)
Infinity Financial Solutionsファイナンシャルプランナー
アメリカ州立ミシガン大学本校卒業後、日本での実務経験を5年間積む。某通信大手の「ミリタリー事業部」に従事していたある日、運命のヘッドハンティングメールが。その後バンコクにファイナンシャルプランナーとして駐在。フリーペーパーなどへの執筆活動に加えて、奥様向けセミナーやパパ向けワークショップなど、海外拠点の家族の将来設計の味方として活躍。
ライター
濱田 真里/Mari Hamada
ABROADERS 代表
海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を6年間以上続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『週刊アブローダーズ』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。
週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。
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