職務質問のために呼び止めた76歳の男性に対して、スタンガンを連射したテキサス州の警察官が、職権乱用の疑いで現在取り調べを受けている。警察官は、男性が運転していた車の車検証の不備について質問しようとしたというが、警察官自身、車検証の制度について理解していなかったことが後に明らかになった。
事件の一部始終を、警察官が乗っていたパトカーに備え付けられていたカメラが撮影していた。ニュースサイト「Raw Story」がYouTubeに投稿した映像によると、ナサニアル・ロビンソン警察官(23)はまず、ピート・バスケス氏(76)の車を、テキサス州ビクトリア市の自動車販売店「アダムズ・オート・マート」に停車させた。その間、パトカー内では、人気ラッパーであるドレイクの「アンダーグラウンド・キングス」が大音量で流れていた。
バスケス氏は車から降りると、自分の車のナンバープレートと勤務先である自動車販売店を指差した。バスケス氏はこのとき、自動車ディーラーであることを示す許可証がナンバープレートに貼られており、車検は免除されていることを説明しようとしたと、後に地元紙「ビクトリア・アドヴォケイト」の取材に答えた。
ジェフリー・クレッグビクトリア警察署長は「ビクトリア・アドヴォケイト」に対して、バスケス氏が主張した通り、彼が乗っていた車は車検の免除対象であると話した。
しかし映像からは、ロビンソン警察官がバスケス氏の説明を聞かずに、手にしている書類を取り上げようとしている様子がうかがえる(0:00ごろ)。その後、ロビンソン警察官はバスケス氏の腕をつかんで後ろにひねり、パトカーのボンネットに押し付けた。もみ合いになった後にバスケス氏を地面に引きずり倒したところで、2人の姿はカメラから見えなくなってしまった。
次にロビンソン警察官がカメラの前に姿を現したとき、手にはスタンガンが構えられ、バスケス氏を怒鳴りつけている。
警察によるとロビンソン警察官は、バスケス氏に対して2回スタンガンを使用したと話しているという。
その後映像では、自動車販売店から出てきた男性が、警察官に向かって何かを叫んでいる。
このとき現れた販売店のセールス・マネージャーを務めるラリー・ユーリッチ氏は、後にこう話した。「あの警察官に、『お前は一体なにをしているんだ? 相手は76歳の老人だぞ』と言ったんだ。警察官は下がっていろと言ったが、黙ってはいられなかった。お前はナチスの突撃隊員かよって言ってやったよ」
現場に応援の警察官たちが到着すると、バスケス氏から事情を聞き、ケガがないかどうか確認を始めた。
映像からは、「ケガはありませんか?」と警察官が尋ねている声が聞こえる。この警察官の身元は確認されていない。
バスケス氏は、「今のところはね。でも後になったらわからないよ。私は76歳なんだ」と答えた。
バスケス氏は病院に搬送されたが、ケガは確認されなかったため病院を後にした。
後日、クレッグ署長はバスケス氏に謝罪した。
クレッグ署長は、「我々にとって、市民の信頼は非常に重要です。そのため、時には、署内で発生している言動についてしっかりと検証していかなければならない」と、アドヴォケイト紙に話した。
署長はAP通信に対して、ロビンソン警察官は署内の調査結果が出るまで、一般事務に従事していると話した。
スティーブン・タイラー州検察官は、まだ警察から連絡を受けていないが、ロビンソン警察官は、職権乱用、年配者への傷害、凶器による暴力、暴行罪などに問われる可能性があると述べた。
事件が報じられると、多くの人びとが懸念を示すコメントをビクトリア警察署のFacebookページに投稿し、警察も本件は調査中であると投稿した。また、以下の内容の投稿を掲載した。
「我々は、市民の信頼を極めて重要に考えており、これまでも信頼の構築に向けて一生懸命努めてきました。多くの皆さんが今回の事件に関して意見表示できる場を求めていることを受け、この投稿を用意しました。規定の範囲内でコメントをお寄せください」
AP通信は、ロビンソン警察官のコメントは得られなかったと伝えている。
(h/t Counter Current News)
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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