東京電力
福島第1原発事故の処理に国費が投入されるなかで金融機関も相応の負担をすべきとの国会の議論に配慮したかたちだ。複数の関係筋が11日、明らかにした。
主力取引銀行の三井住友銀行など金融機関は、震災前に実施していた融資を延長する際、通常の債権よりも返済が優先される一般担保付の私募債の形式に順次切り替えている。そのほか、昨年以降の新たな貸出も一般担保付としており、事故前は発行がなかった私募債残高は2013年9月末時点で8156億円に増加している。
国会などでは、私募債スキームは銀行融資優遇だとの批判が出ていた。自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部による原発事故支援提言にも、東京電力の経営再建をめぐり「関係者を含めた東電全体が責任を果たす」と明記しており、無担保融資に切り替えることで取引金融機関にも一定の負担を求めたい考えだ。
東電と賠償機構は主力取引行に対して、来年1月から私募債への転換をやめ無担保融資とするよう今週要請。生保や地銀など他の金融機関に対しては2015年度から無担保への切り替えを要請する方向だ。
12月下旬に実行する融資5000億円分のうち、民間銀行団が実施する約2000億円は一般担保付私募債スキームとなる見通しだ。
東電は、今回の要請に対し「総合特別事業計画については、回答を差し控えたい」(広報部)と述べている。
(布施太郎、浜田健太郎、竹本能文、浦中大我 編集:田巻一彦)
[東京 11日 ロイター]
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