「イスラム教徒が、核爆弾を爆発させる」という内容の広告を掲載したアメリカ・テネシー州の新聞が、社内調査を始めたと発表した。
イスラム教徒への恐怖やヘイトをあおる内容に、批判が集まっていた。
■ 書かれていたのは、ヘイトをあおるような主張
問題の広告を掲載したのは、テネシー州最大の新聞「テネシアン」 だ。
6月21日に掲載された「ナッシュビル市民の皆さんへ」という全面広告に「イスラム教徒が7月18日にナッシュビルを爆破する」と主張する内容が書かれていた。
広告はまた「これは“聖書の予言”に基づいたもの」で「トランプ大統領はアメリカ最後の大統領になるだろう」と述べており、トランプ大統領とローマ教皇、アメリカ国旗を組み合わせた画像が使われていた。
広告主の「The Ministry of Future For America」は、キリスト教の終末論を説くカルト教団だと考えられている。
ツイート「今朝、州で一番大きな新聞のテネシアンの広告。“イスラム教徒がテネシー州ナッシュビルで核装置を爆発させる”と警告している」
■謝罪し、調査立ち上げを発表
テネシアンは広告が掲載された21日、謝罪するとともに、広告は同社の掲載基準に明らかに反しており、掲載に至った経緯の調査を始めたと発表した。
テネシー中部の販売副部長のライアン・ケジアスキー氏は「この間違いが起こったことを心よりお詫びします」と謝罪した。
「この広告が紙面に掲載されたことを、地域の皆さんに陳謝します。なぜこの広告が掲載されたのか、私たちは社内調査しています」
ケジアスキー氏によると、テネシアンはこの広告の収入を、イスラム教徒審議会に寄付する予定だ。
編集に携わるスタッフも「広告を掲載するべきではなかった」と広告を強く批判した。
副社長で編集者のマイケル A・アナスタシ氏によると、同社の編集と販売はそれぞれ独立して運営されている。
今回の掲載は「通常のプロセスの破綻」だ、とアナスタシ氏は述べる。
「いかなる状況であっても、この非常に恐ろしい広告を掲載したことに弁解の余地はありません。これは大きな間違いであり、掲載されるべきではありませんでした」
「広告は地域の人たち、そして従業員を傷つけました。私は信じがたいほどの悲しみを感じています。広告はテネシアンが公共の機関として守っているもの、守ってきたもの全てと相反します」
■SNSによる批判も
SNS上には、地域住民や読者からの批判も投稿された。
テネシー州の移民・難民権利連合は、「イスラム教徒コミュニティへの恐怖やヘイトをかきたてる全面広告の掲載を許可したことに、私たちはがく然としました」とツイート。
「広告の主張はとても危険です。そして『社会の理解を深める対話をする』というテネシアンが宣言してきた立場を侮辱するものです」と述べた。
広告をせいで、購読を止めると宣言した人もいる。
約10年購読していたという読者は「2010年からとっていたけれど、こんな広告を載せるニュース媒体をこれ以上サポートできない」とツイートした。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。