海面水温も気温上昇を加速 数値シミュレーションで解明

日本近海の海面水温が上昇すると海水の蒸発によって水蒸気量が増加し、関東地方の夏の気温をさらに高めることを、首都大学東京などの研究チームが過去31年分のデータに基づいた領域気候モデルを用いた数値シミュレーションにより明らかにした。
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日本近海の海面水温が上昇すると海水の蒸発によって水蒸気量が増加し、関東地方の夏の気温をさらに高めることを、首都大学東京などの研究チームが過去31年分のデータに基づいた領域気候モデルを用いた数値シミュレーションにより明らかにした。

首都大学東京、理化学研究所、北海道大学、埼玉県環境科学国際センター、海洋研究開発機構の研究者たちが着目したのは、関東南沖を流れる黒潮周辺の海面水温の影響。1982年~2012年の8月の平均海面水温観測値を与えた数値シミュレーションを行った。

さらに、同じ期間(31年間)全体を通した8月の海面水温観測平均値を与えたシミュレーションを実施し、各年のシミュレーション結果の差を比較した。この結果、海面水温の変化だけに起因する気温の変動が明らかになり、関東南沖を流れる黒潮周辺の年々の海面水温変動が、関東地方の気温変動を増幅していることが突き止められた。海水温上昇によって大気中に増えた水蒸気が持つ温室効果によるとみられ、海面水温の影響によって説明できる気温変動の増幅分は、約3割を占める。

近年、地球温暖化の影響と考えられる気温上昇が世界各地で観測されている。海面水温も同様に上昇し、特に黒潮海域の上昇が世界の海洋の平均よりも大きいことが指摘されていた。一方、夏の気温変動には、太平洋高気圧の張り出しの強さやエルニーニョやラニーニャ現象のような熱帯海洋の海面水温による影響が大きいと考えられていた。

関東地方といった地域スケールの気温変動の原因解明は、地球温暖化に伴う広域的な気温上昇と、近傍の海面水温による地域スケールの気温上昇を区別して評価することが必要だ、と研究チームは言っている。

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