大寒波のテキサス、地元上院議員が「非常事態」下でリゾート旅行。娘のせいにするも大批判

停電や断水で多くの人が苦しむ中、テッド・クルーズ上院議員は、家族とリゾート地へ出かけた
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メキシコへの休暇旅行が批判された後、2月18日にカンクン国際空港でチェックインするテッド・クルーズ上院議員
MEGA/GC IMAGES/GETTY IMAGES

歴史的な寒波に襲われ停電や断水が続くアメリカ・テキサス州で、同州選出の共和党上院議員テッド・クルーズ氏が、家族とメキシコ旅行に向かって激しく批判されている。

クルーズ氏は寒波最中の2月17日に、メキシコのリゾート地カンクン行きの飛行機に乗っているところを目撃された。

マスクをつけたクルーズ氏が、ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港の搭乗口で荷物を持っている姿や、パスポートを手にして機内にいる姿などが、撮影されている。

 「テッド・クルーズ上院議員が、家族とカンクン休暇旅行をしていたことが確認されました。何百万人ものテキサスの人たちが電気や水がなく文字通り凍えている状態で、クルーズ氏は自分することはほとんどないだろうと考えたようです」

明らかに間違いだったと謝罪

批判を受けた後、クルーズ氏は18日午後に声明を出して休暇旅行だったと認めた。

そして「何百万人ものテキサスの人たちと同じように、私たちの家も停電しました」と述べた上で、悪天候で娘の学校が休校になったために、クルーズ氏と妻は友人と一緒に旅行することを決めたと弁明した。

「良い父親であろうと考えて昨夜家族と飛行機に乗り、今日午後に戻った」とクルーズ氏は説明する。

しかし新型コロナウイルス感染症が拡大している現在、CDC(疾病管理予防センター)は、メキシコを含む国外への不要不急の旅を自粛するよう求めている。

その後クルーズ氏は、当初は週末まで過ごす予定だったが、自分の行動が批判されていることを知って、予定を切り上げて戻ってきたと認めた。

また、クルーズ氏はカンクンに向かった理由として子どもの学校休校を挙げたが、ニューヨークタイムズが入手したクルーズ氏の妻が友人に送ったテキストメッセージによると、クルーズ氏の妻が、自宅が停電で凍えそうだったために週末までカンクンのリッツ・カールトンで過ごすことを友人らに提案していた。

クルーズ氏はテキサスの有権者に対し、「州や地元のリーダーと定期的にコミュニケーションをとって、テキサスで起きている問題の原因究明をしようとしている」と弁明している。

さらにクルーズ氏は、ヒューストンにある自宅の外で「飛行機の座席に座った途端、すぐに考え直した」と地元記者に語った

「私たち親は、子どもや家族の面倒を見る必要があります。まさにテキサスの人たち今やっているように。しかし同時に、これほど多くのテキサスの人たちが苦しんでいる時に、州を出ることを真剣に捉える必要があると考えました」と説明した上で、「これは明らかに間違いだった」と述べた。

クルーズ氏は、「2日間停電したために家族は暖炉の前に集まらなければならず、いい親になりたかったので、行くことを決めた」とも述べている。

死者も出ている寒波 

クルーズ氏のカンクン旅行は、18日初めに複数の媒体や記者らによって報じられた。その後、「クルー、R」という乗客が、カンクン行きのユナイテッド航空の、座席アップグレード待ちリストにのっていたことも明らかになった(クルーズ氏のフルネームはラファエル・エドワード・クルーズ)。

さらに18日午後に、「クルー、R」はカンクンからヒューストンに戻る飛行機の、座席アップグレード待ちリストにも記載されていた。

報道の後に、カンクン空港を歩くクルーズ氏の姿は多くのカメラに囲まれることになった。

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2月11日頃から始まった異例の寒波で、テキサス州は各地で気温が零下になり、停電や断水が起きた。新たな寒波が襲来することも予想されている。

クルーズ氏がテキサスを出発した17日には、300万人近い人の自宅が停電状態だった。今でも多くの家に電気や水が供給されておらず、多くの人が水や食べ物がない窮状に陥っている。

寒さに不慣れなテキサスでは、極度の寒さのために配管が破裂して、自宅に水が溢れた人たちもいる。

また、暖をとるためにエンジンをかけた車の中にいた女性と女の子が、一酸化炭素中毒で死亡した。他にも、火事で亡くなった人や、3日間停電した自宅で凍死した人もいる。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。(翻訳:Satoko Yasuda )