もし、身の回りの排熱をうまく活用し熱電変換できたら? ——産業技術総合研究所は、印刷形成できる有機系熱電変換素材を開発したと発表しました。
センシングやIoTの分野などで期待される、いわゆるエネルギーハーベスト技術の話です。
現在捨てられている未利用熱エネルギーの有効活用の道を探り、低消費電力動作のセンサー機器などでの活用を見込んでいます。
有機系熱電変換素材は軽量で柔軟、レアメタルなどを含みません。また印刷のように素材を量産できれば生産コストは抑えられます。一方、有機系の素材は発電性能が低いという課題があります。
今回発表したのは、発電量を表す出力因子として600μW/mK2超を達成した有機系熱電変換素材。産総研では「単純塗布できるp型の有機系熱電変換材料では世界最高レベル」としています。
研究では、有機系素材としてはカーボンナノチューブ高分子複合材料を採用するほか、汎用性や耐久性、コスト面で優れるカーボンナノチューブの絶縁体高分子材料での研究も実施。
カーボンナノチューブ束の直径を小さくすることで導電性が向上する技術を組み合わせ、約100度で600μW/mK2超も実現しています。
(2017年3月16日Engadget 日本版「捨てる熱を電力に変換、センシングに活用。産総研、印刷形成できる有機系熱電変換素材を開発」より転載)
【関連記事】