自民党は5日夜、TBSの取材拒否を解除したと発表した。TBSの西野智彦報道局長名の文書が石破茂幹事長宛てに提出されたことを受けての対応だという。
自民党はホームページにて、西野氏からの謝罪文を掲載している。
平成25年7月5日自由民主党 幹事長
石破 茂 様
TBSテレビ 報道局長西野智彦
弊社6月26日放送の「NEWS23」の中で、国会最終日をめぐる動きについての報道に対し、御党より内容が公平校正を書くのではないかとの指摘を受けました。
弊社としましては、「問責決議可決に至る経緯についての説明が足りず、また民間のかたのコメントが野党の立場の代弁と受け止められないかねないものであった」等と、御党より指摘を受けたことについて重く受け止めます。
弊社としましても、今後一層様々な立場からの意見を、事実に即して、公平公正に報道してまいる所存です。
また、自民党はこの西野氏の文章を受けて、取材拒否解除に至った内容も、ホームページに掲載している。
TBS 「NEW23」への抗議を巡る経過
平成25年7月5日TBS「NEWS23」6月26日放送の国会最終日をめぐる動きの報道の中で、公平公正を欠く部分があり、これに対して翌27日、自民党はTBSテレビに抗議し謝罪を求めてまいりました。参議院選挙公示日の7月4日に至るまでTBSテレビ側からは誠意ある回答がなく、やむを得ず、党役員の出演や取材に関して一時停止を通告したところです。
党本部には放送直後より、当該放送に関しての抗議や疑問を呈する電話やメールが相次ぎました。その主な内容としては、「(TBSの報道は)一方の主張のみを取り上げ、公平公正を欠くのではないか」、あるいは「国会情勢について説明不足であり、事実に即していないのではないか」というものでありました。
こうした状況を受け、7月5日夕刻、TBSテレビの西野智彦報道局長が小此木八郎筆頭副幹事長、萩生田光一総裁特別補佐を訪ね、「ご迷惑をおかけしました」、「問責決議可決に至る過程についての説明が足りていなかった」、「民間の方のコメントが野党の立場の代弁と受け止められかねないものであった」等、わが党の指摘を重く受け止めるとのことでありました。
更に、「今後一層様々な立場からの意見を、事実に即して、公平公正に報道して参る所存」とのことでしたので、わが党としてもそれらすべてを合わせてTBSテレビ側からの事実上の謝罪と受け止め、党役員の出演や取材に関して一時停止を解除しました。
産経新聞が報じるところによると、「安倍晋三首相(党総裁)はBSフジ番組で「今後はしっかりと公正な報道をするという事実上の謝罪をしてもらったので問題は決着した」と説明した」とのことだ。
この一連の流れについて、TBSは今後きちんとした報道がされるのかという疑問の声が出ている。民主党の細野豪志幹事長は下記のようにツイートしている。
自民党の取材拒否を受けて、TBSが謝罪したと報道されました。TBSが報道局長名で提出した文章では「重く受け止める」という表現がなされていますが、選挙期間中の取材拒否を恐れるあまり、曖昧な文章での早期決着を図ったのでしょう。今後、TBSは自民党に対し公平に報道できるのでしょうか。
— 細野豪志 (@hosono_54) July 5, 2013
なお、共同通信の情報によると、「TBSの龍崎孝政治部長は「放送内容について訂正・謝罪はしていない」とのコメントを出した」とのことだ。
ハフィントンポスト日本版で掲載した自民党のTBS取材拒否の記事には、から多くの意見を頂いている。
まずは自民党に対する意見。
「自由民主党」の言う「公平性」とはどんなことなのか、同党から説明していただけるとありがたい。
もし自民党が「誰がどう見ても政治的に公平を欠く」というのであれば提訴し、司法の場で決着をつければよいのです。それをせずに取材拒否というのは、感情的行動であり、かつ政権党としては姑息で卑怯な振る舞いです。
同じ自民党に対する意見でも、メディア戦略に成功しているという声もあった。
1.「批判の多いマスコミ」と対決姿勢を国民にアピール
もしそうなら、なかば成功。完全につられている。
2.泥試合つづけてウンザリ感で「流動票」の投票率を下げる、もしくは現状維持「風対策」?
選挙のメディア戦かなぁ?と。世論誘導合戦。
反対に、野党には有利になったとのコメントもあった。
むしろ、与党のメディアへの露出が減る分、相対的に野党側の主張が強調されるため、野党に有利な状況が形成されているのではないでしょうか。これを機に野党は自らの主張を堂々と掲げて具体的なヴィジョンを示せば良いのであって、それに対して与党が外野から反論を加えたならばそれは不公平だと唱えるべきです。
一方、自民党の態度を「言論統制」ということには言い過ぎとのコメントをいただいた。
なんだか、「言論統制」というのは大げさな気がします。
ぜひ、中国におけるメディアの状況を思い出していただきたい。
そして、最も多かったのが、メディアに対するコメントである。
TBSに対して、もっとこのことを報じよとの意見が出ている。
TBSについては、突撃取材でも何でもいいので、粘り強く追いかけてほしいです。
現状ならTBSも「我々はアンフェアだったのか」といった検証特番を作って続けて報じればいいとだろう。それが出来なくなる「法的な規制」が入ったら言論統制と叩かれていい。現状は悪くても、そういう番組を作ると反省の色なしと見られてまた取材拒否される程度だろう。
メディア全体に対しては、「わがまま」「メディアの選挙もあったほうがいい」とする意見があった。
「第4の権力」なんだから、他の権力から干渉があって当たり前。
三権を監視はするけど影響は受けたくない、なんて我が儘がすぎる。
国民が選挙の時に、やめさせたい最高裁の裁判官の名に、「×」を記入するように、メディアも有権者から一定数の「×」があれば、そのメディアは放送事業の剥奪と停波、紙媒体のメディアなら廃刊させる国民審査法が必要でしょう。
メディアの手法に対するコメントも出ている。
たぶん一番の問題は
「原発事故後からメディアへの信頼が未だ回復できていないこと」
をメディアの方が気づいていない事にあると思います。
(そもそも以前から信頼などなかったという説もありますが)
いつも通りの昭和的な「権威に反抗」、「洗脳装置としてテレビ」の手法が出てしまった感じでしょうか。
視聴者も、メディアの報じ方に対して考えたほうがいいというコメントもある。
自民党の取材拒否は、報道が中立公正であるべきという規範をもとにしていますが、まず視聴者が、報道が中立公正であるという幻想から脱しないといけないと思います。
インターネットが広がり、自分に取って都合の良い意見ばかりを選択して読むことも、可能になっている。
しかし、これらの様々な意見を見ると、ただ自分にとって都合の良い意見を読むのではなく、当事者同士の「やりとり」や「考え方」の違いを知りたいというかたも多いようだ。
Besucherさんのメディアの多様性に関するコメントを、最後に紹介しよう。
媒体の好き嫌いと報道による政権チェック機能の問題を切り分けられない有権者が少なからずいる、もしかすると政権与党にさえ存在することに少なからず恐怖を覚える。
「正しい報道」とはなにか、ある政治方針に対する報道の見解に「どれかが正しくて他は間違い」という断定が認められてしまえば、有権者による報道メディアの選択肢は事実上存在しなくなる。
「正しい報道とは多様性である」といっても差し支えない。記者クラブの閉鎖性がなぜ問題視され、開放への大きな運動につながったか、TBSの報道をただ嫌うだけの有権者各位にはもういちど考えてほしいと思う。
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※訂正
・「穏当」を「御党」に修正しました(2013/07/08 0:32)