10月27日にリリースされたテイラー・スウィフトの最新アルバム「1989」は、TargetとiTunesのみ入手可能で、音楽ストリーミング配信サービスのSpotify では配信されなかった。これは、レコードレーベルがアルバムセールスを伸ばすためによく行う販売戦略の一環であり、「Windowing」と呼ばれている。さらに、彼女と彼女のレコードレーベルは、「1989」だけでなく、過去の全アルバムをこのSpotifyから削除することを決めた。
※注 Spotifyは無料サービスと定額制サービスの2種類があり、無料サービスでは楽曲を再生する合間に広告が挿入され、オフラインでの楽曲の保存・再生ができないという利用制限がある。
来日中のテイラー・スウィフト
Spotify上で「1989」を検索すると、「アーティストまたは代理人は、Spotifyでアルバムの配信をしないことを決めました。我々は、彼らがこの決定を変えるよう働きかけています」というメッセージが表示される。Spotifyの公共政策担当のジョナサン・プリンスはスウィフトに、彼女の新曲の“Shake It Off”の歌詞にかけたこんなメッセージをツイートしている。「テイラー・スウィフト、嫌いな人は嫌って嫌って嫌いまくるだろうが、4000万人を超えるSpotifyユーザーはテイラー・スウィフトの曲をかけてかけてかけまくるだろう。どうか彼らをそんなに長いことがっかりさせないで」
だが彼らの期待に反し、スウィフトが「1989」をSpotifyに配信しないと決めてから1週間後、彼女の全てのアルバムがSpotifyから削除されることになった。Spotify側は下記のコメントと、Spotifyで聞くことができる曲をつなげて詩のように仕立て上げた「テイラー・スウィフトへ捧げる小さなプレイリスト」を月曜日に発表した。
私たちはみな、テイラー・スウィフトが大好きです。私たちの4000万人以上のユーザーはもっと彼女のことが好きでしょう。過去30日間に1600万人のユーザーが 彼女の曲をかけ、1900万以上のプレイリストに彼女の曲が載っています。
私たちは彼女が考え直して、私たちと一緒に、皆のためになる新しい音楽活動の経済モデルを作り出して欲しいと願っています。私たちが目指しているのは、ファンがいつでもどこでも聞きたい時に音楽を聞けるようにすること。そしてアーティストが彼らの音楽に対して必ず正当な対価を支払われ、著作権を守られるべきだとも信じています。だからこそ、我々は収益の約70パーセントを、音楽業界に支払っています。
P.S. テイラー、僕たちが初めて出会ったとき、君も僕も若かった。でも今では僕たちのユーザーは4000万人以上にもなり、みんなが君にいて欲しい、いて欲しい、いて欲しいと願っているんだ。これはラブストーリーだ、ベイビー。どうかイエスと答えて欲しい。
今年の初めにウォール・ストリート・ジャーナルの論説に寄せた記事の中で、スウィフトはストリーミングとファイル共有サービスが、広告セールスの減少の原因になっていると語っている。「音楽は無料であるべきではないというのが私の意見。そして将来は、アーティストとレーベルが、アルバムの価格を決めるようになると私は思います」。彼女は2012年リリースのアルバム「Red」もSpotifyでの配信を数ヶ月遅らせていた。
スウィフトの作戦は、今のところ彼女の狙い通りになっているようだ。「1989」は第一週目の売上で記録破りのヒットとなっており、早期の予想では、「1989」は、アメリカの女性ソロアーティスト作品の第1週目売上記録を破り、2002年以降で最大の売上を記録するだろうと言われている。
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