麻生太郎財務相は21日、閣議後の会見で、為替市場などマーケットについてコメントはしないと述べた。自民党の参院選公約に明記された法人税減税に関しては、税率を引き下げるより投資減税を行う方が企業にとってはありがたいとの認識を示し、あらためて法人実効税率の引き下げには慎重な見方を示した。
NYダウの大幅安を受けて、日経平均株価は一時300円近く下げるなど荒い展開が続いている。米株安が日本市場・日本経済に与える影響について麻生財務相は「為替など(も含め)マーケットのことについて答えることはない」と繰り返した。市場のかく乱要因となっている米国の量的緩和の出口戦略についても「他国の金融政策について、日本がどうこういうことはない」と語った。
日本経済については「底堅い」とし「下期に向かって伸びていくだろう」と見通した。
<法人税率下げより投資減税>
自民党は20日、参院選公約を発表。経済政策では法人税の「大胆な引き下げを実行する」と明記した。財界からは法人実効税率の引き下げ要望が強いが、麻生財務相はあらためて税率引き下げより投資減税のほうか政策効果が高いとの認識を示した。
財務相は「海外との輸出競争や国際競争を強いられている製造業が法人税に占める比率は25%程度だ。25%の製造業のためだけに、法人税(率)は下げられない。法人税を下げるより、国内における設備投資を行った企業に対して償却を考えるほうが企業としてはありがたい」と指摘。現時点での実効税率引き下げによる政策効果が乏しいことを説明し、「国際競争力のためというのは、少し違うのではないか」と語った。
<中期財政計画 何も決まっていない>
政府が8月にまとめる「中期財政計画」については「道筋について確たる方向性を言える段階ではない」と述べた。公共事業や地方財政などの政策経費は、2014年度と2015年度について、2013年度当初予算と同水準の約70兆円に抑える方針との一部報道に関しても「何も決まっていない」とした。[東京 21日 ロイター]