韓国の元徴用工訴訟めぐり、日本企業の資産差し押さえ手続きが進む。「非常に深刻」と河野太郎外相明かす

河野外相は「現金化はまだ」とも明かしたが、予断を許さない情勢だ
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韓国外相と電話会談後、報道陣の取材に応じる河野太郎外相=1月4日、外務省
時事通信社

河野太郎外相は1月4日、康京和(カンギョンファ)外相と電話会談し、韓国の元徴用工訴訟をめぐって原告代理人の弁護士が日本企業の資産を差し押さえる手続きを申請したことについて、「非常に深刻にとらえている。韓国側でしっかり対応してもらいたい」と伝えたことを明かした。共同通信などが伝えた。

この問題をめぐっては、朝鮮半島が日本の統治下にあった戦時中、日本本土の工場に動員された韓国人の元徴用工4人が新日鉄住金に損害賠償を求めて提訴。韓国の最高裁にあたる大法院が2018年10月、新日鉄住金側に対し、1人あたり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じた。

朝日新聞デジタルによると、原告側は賠償支払いをめぐる協議を同社に求めていたが、期限までに回答が得られなかったとして12月31日、韓国内にある同社の資産を差し押さえるよう大邸(テグ)地裁浦項支部に申請していた。

河野外相は会見で、「現金化というところまでは行っていないという説明は(康外相から)あった。本来、一緒にやってもいいところだが、そこまではやっていないということだった」と明かした。

その上で、「日本政府として日本企業に不当な不利益が生じれば当然、様々な措置を取らなければならなくなると伝えたので、先方もご理解いただいていると思う」と韓国側を牽制した。

元徴用工に対する補償について、日本側は日韓請求権協定(1965年)で「完全かつ最終的に解決済み」としており、大法院の判決に反発している。