田中将大は投げすぎ?日本シリーズ・楽天、気をもむ大リーグ関係者
2013年の日本シリーズを制した東北楽天イーグルス。日本一の原動力となったエース・田中将大投手がシリーズ第6、7戦で計175球を連投したことが議論を呼んでいる。今シーズン終了後にポスティングシステム(入札)を利用して移籍確実と言われる大リーグの関係者が気をもむ一方、日本球界では力投をたたえる声が相次いだ。
■アメリカから相次ぐ懸念。一方で先例も…
田中は第6戦で敗れたものの9回を投げきり160球、第7戦でも9回にリリーフとして登板し15球を投げた。先発を担った投手が翌日も連投したことについて、テキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手はファンからの質問に答え、懸念している。
米紙ニューヨーク・タイムズは大リーグ球団スカウトの言葉として、心配する声を紹介した。
彼の腕が心配だ。日曜日(リリーフした第7戦)は普段よりやや球速も遅かったし、ストライクゾーンから高かった
(The New York Times " Day After Throwing 160 Pitches, Tanaka Closes Japan Series Clincher" 2013/11/03)
同紙は「大リーグのチームは投手に厳格な投球数制限を課しており、ほとんどの場合は故障を心配して、160球もの投球や先発翌日の投球は許さない。日本の投手はほとんどの場合、アメリカよりも明らかに投球数が多い」とした上で「160球の投球でメジャーのチームが田中の入札を断念することはないだろうが、どの球団が交渉権を得たとしても、健康診断を要求することになるかもしれない」と予想した。
同紙の別の記事では、田中が駒大苫小牧高校時代の2006年、全国高校野球大会で約2週間の間に計742球を投げ、松坂大輔(メッツ、当時横浜高校)の643球を上回ったことを挙げ「日本人選手にとって、高校での経験は問題だ。メジャーのチームは、彼らが投げすぎだと気づいている」と、日本プロ野球の統計を扱うサイト創設者のコメントを紹介している。
ただ、アメリカでも2001年のワールド・シリーズで、優勝したアリゾナ・ダイヤモンドバックスのランディ・ジョンソン投手が第6戦に先発して7イニング以上投げた翌日、第7戦でリリーフを務めるなど、決して日本特有の起用法というわけでもないようだ。
やっぱり、ワールドシリーズの優勝決定戦となると誰でも投げたくなるんですね。
(中略)
選手の将来とか、そういうのはもちろん大事だと思います。けどね、そういう観念をぶっ潰す。そういう戦いがあっていい。と、個人的には思うわけです。この試合だけは絶対に勝ちたい!そういう戦いに、見ている野球ファンは興奮するんだと。
(ブログ:ベースボールバイブルオフィシャルブログ「田中将大投手の連投が物議を醸しているようだが・・・《アメリカでもこういう事はある!》」より。2013/11/05 09:19)
■「ドラマチック」「根性」を絶賛
サンスポ・コムのコラムは「投げすぎ」を懸念するアメリカの論調を批判した。
あんなドラマチックな場面での連投は一生に一度あるかないかのことで、肘や肩への影響など先々のことまで考える必要などない。その意気に感じて日本中が盛り上がった。米国人がとやかく言う筋ではない。
(サンスポ・コム「【甘口辛口】マー君175球に日本中感動! 米国人が口を出す筋合いではない」より。2013/11/5 05:00)
野球評論家で元楽天監督の野村克也氏は、采配に驚きながらも星野仙一監督の演出を喜んだ。
最も温かい仙台のファンが見守る本拠地で、しかもマー君(田中)が胴上げ投手になった。この起用は昔かたぎの星野監督ならではの芸当とも言えるが、良かったんじゃないか
(日刊スポーツ「野村克也氏、日本一「最高のタイミング」」より。2013/11/4 01:07)
田中投手を小学生時代に指導した軟式少年野球チーム「昆陽池タイガース」の山崎三孝総監督は、以下のようにたたえた。
普通の人間にはできない。精神力が人並みではない
(神戸新聞「楽天・田中「精神力並ではない」 少年時代の監督」より。2013/11/4 07:07)
Twitter上でも意見が分かれた。
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