台湾立法院(国会に相当)は5月17日、同性婚を認める法案を可決した。
アジアの国で初めて同性婚が可能になり、世界で26カ国目となる。
18歳以上の同性カップルは今後、男女カップルと同様に、行政機関で婚姻関係の登録が認められる。
台湾法に詳しい明治大学の鈴木賢教授はハフポストの取材に対し、アジア初の同性婚の実現について「日本にとっても特別な意味がある」と話した。
これまでの経緯は?
台湾の大法官会議(憲法裁判所に相当)は2017年、同性間の結婚を認めないのは憲法違反と判断し、立法院(国会に相当)に2019年5月までに措置をとるよう求めていた。
当初は、民法改正による同性婚の実現を目指していたが、2018年11月の住民投票を結果を踏まえて、特別法によって同性婚が法制化されることが決定。
蔡英文総統の行政院(内閣府に相当)は大法官の解釈に基づく法案を提出。法案は立法院で多数決で可決され、24日に施行される。
残る課題
台湾の同性婚を法制化を実現した特別法。一方で、課題も残ると、台湾法に詳しい明治大学の鈴木賢教授はいう。
「(特別法が保障するのは)当事者間の婚姻の自由の問題だけなのです。だから、子どものこと、相手方の親やきょうだいとの法的関係など、そういうことはいっていないんです」
特別法の下で婚姻関係を結ぶ同性カップルは、血縁関係のない養子の共同親権やパートナーの親や兄弟姉妹など法的な親戚になれる権利が保障されない。
代理出産や精子提供などの人工生殖についても、異性カップルと同じ法律が適用されるか明確ではないという。
鈴木教授は、台湾の同性婚の法制化は平等に向かう一つの「節目」だと指摘する。
「この後、裁判が起きたりするのも、これが通った後もあると思います」
アジア初という意義
台湾では、婚姻当時者の双方の国で婚姻が成立しないと、婚姻ができない。同性婚は日本で認められていないため、日本人は台湾で同性パートナー結婚ができない。
しかし、アジアで同性婚が認められたということに「特別な意味がある」と鈴木教授はいう。
「かつて植民地統治してた台湾で、先にやりましたっていうことになると、それは欧米のことでしょっていう言い訳は通用しなくなるという意味で、日本にとっては特別な意味があると思います」
「アジアの中でも、タイとか、例えばフィリピンとかそういうとこよりも、もっと身近な国ですから、台湾は。だから日本にとっては、人ごとでなくなってくる、いよいよ日本はどうするんだということを、突き付けられるようになるということだと思います」