作家・河野多惠子(こうの・たえこ、本名:市川多惠子〈いちかわ・たえこ〉)さんが1月29日、呼吸不全のため都内の病院で死去した。88歳だった。葬儀は近親者で行い、後日お別れの会を開く予定。喪主はおい河野明(あきら)さん。朝日新聞などが報じた。
1926年大阪生まれ。大阪府女子専門学校(現・大阪府立大)卒。谷崎潤一郎の文学世界に傾倒し、同人誌「文学者」に加わる。1952年に上京し、勤めながら創作活動を行う。1961年に、小児性愛を描いた「幼児狩り」で新潮社同人雑誌賞。1963年に、結核で療養中の女性の心の内側にある確執を描いた「蟹(かに)」で芥川賞を受賞した。女性受賞者は14年ぶりだった。
その後も「最後の時」や「不意の声」、それに「みいら採り猟奇譚」など、人間の深層心理を描いた作品を次々と発表し、文壇での地位を確立。1987年に女性の作家として、初めて大庭みな子と芥川賞選考委員になり、2007年まで務めた。
2014年11月、文化勲章を受章した際は「これまで書いてきたものすべてが自信作」と創作への情熱を語った。
去年、文化勲章を受章した際には、「小説を書くことは自分を確認することで大事なことです。これまで書いてきたものすべてが自信作なので、読んで感じてくれたことが1つでも2つでもあったらいいと思っています」と話していました。
(作家の河野多惠子さんが死去 NHKニュースより 2014/01/30 10:13)
文化勲章受章が決まり、記者会見で喜びを語る小説家の河野多惠子さん=東京都千代田区 撮影日:2014年10月22日
河野さんは、2014年8月から神経痛のため東京都内の病院に入院していたが、29日に容体が急変した。
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