「今夜くらべてみました」「ヒルナンデス!」などの番組に出演し、飾らない語り口で人気を博しているSHELLYさん。彼女は、小さい頃から日本の性教育に疑問を感じていたと語ります。性をオープンに語る社会を目指す彼女の原点となったのは、インターナショナルスクールに通う2人の姉でした。
自身がMCを務めるAbema TVの番組『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』では、「不妊治療」や「レズビアン風俗」など周りにもなかなかオープンに語れない女性ならではのトピックについて、話しています。
そんなSHELLYさんに、タブーを乗り越えて性を語ることの大切さについて聞きました。
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もし有名になったら、女の子を集めたイベントをやりたいと思っていた
——番組MCのお話を初めて聞いた時は、どう思いましたか。
「これ、やる!」って即答しました(笑)。事務所の人も「女性のリアル」に迫る番組を私がやりたいことは、もともと知っていました。
——SHELLYさんがそのトピックをやりたいと思うきっかけがあったのですか。
きっかけは2人の姉でした。姉は2人ともアメリカのインターナショナルスクールに通っていて、私は日本の学校に通っていました。その時に日本の学校はまだまだ性教育が遅れていると気づいたのです。私は姉からリアルな話を聞いていましたから、自分の学校との性教育のギャップに、すごくもやもやしていました。
例えば性犯罪やデートレイプの話も姉から初めて聞きました。日本社会では自分の身は、自分で守りなさいって教えてくれる人がなかなかいないから、怖い目にあう人もいます。日本は「セックス」というトピックがある意味タブーの社会だから、結局被害者の女性が言い出せず、警察にも行けず、「彼について行ったのは私」といった罪悪感を持つだけで終わることを友達から聞いて、びっくりしました。
友達との性の価値観や知識が違いすぎて落胆することが多かったので、20歳くらいの時に、もし有名になれたら、自分でイベントやって女の子を集めて、私はそういう話をするんだって思い描いていました。
——なぜ、イベントなのでしょうか?
リアルな女の人の悩みとか社会の不平等とか、女性として生きていくことのハードルとかについてちゃんとみんなが話せる場を作りたい。そういう場所があれば、それぞれがどう思うっていうのを洗いざらい出して、じゃあ直せるところは直していこうか、という風にお互いに気をつかうことができます。
みんなが黙っていると、相手をどう配慮していいのかわからないですよね。それが、ちょっと会話することで「この人もこんなに悩んでいるんだ」とか「こんなに悩まなくてもいいんだ」といった発見があります。
——お姉さんとは、かなりオープンに話をされているんですか。
性のことも姉に全部聞いて教えてもらったし、男女の付き合いも全部教えてもらいました。姉が2人いて、3姉妹なんですけど、お互いのことを全部知っているし、何かあったら最初に相談したいと思うのも姉ですし、最強の味方です。
——お姉さんがそんなにオープンなのは、性格以外にも、インターナショナルスクールでの「性教育」という面が大きかったですか。
性教育もそうですし、アメリカでは女性に求められることがそもそも日本と大きく違います。
アメリカの男性向け雑誌で、「あなたの女性に求める三大要素は?」という特集がありました。日本だと「可愛い、優しい、料理ができる」って想像しますよね。アメリカの1位が「自立心」がある女性。1位ですよ?嘘つけって思いません?かっこつけすぎでしょって。女性誌だったら好感度あげたいだけだって思いますが、その特集が掲載されていたのは男性誌なんです。
そんな社会で育った女性と、日本みたいに「顔がよくて、優しくて、料理ができて、家庭的」が求められる社会で、育つ女の人は当然違います。どちらが正しいとかではなくて、日本の女の人がもうちょっと活躍できる環境、自分らしく生きる社会であったらいいなと思います。性別関係なく社会の決めつけがなくなって、それぞれがみんなのびのび自分らしく育っていける環境にもうちょっとなれたらいいのになって思いますね。
女の子の価値は可愛いってところじゃなくて、中身にある
——SHELLYさんは、ご自身の親から「女性だから」という教育を受けましたか。
うちは父親がアメリカ人、星一徹みたいな人で厳しくて、めちゃくちゃ怖いお父さんでした。ただ、「女なんだから」っていうのは一度も言われたことがありません。小さい頃から、何にでもなれるって言われていたから、小学校の時に「夢は?」って聞かれると、「女性初の大統領か、女性初の野球選手」とか「女性初」にこだわっていました。でも、私ならできるって思えていたのは、多分親からできるよって思われていたからだろうなって思います。結果、どちらも達成していないんですけど。
「なんでもできるよ」「やりたいと思ったことをやりなさい」を私も意識して子どもに言おうと思っています。それが間違っているわけではないですけど、自分の子どもに可愛いね、とかアイドルになろうね、モデルになろうね、って語りかける人もいます。だけど、女の子の価値は可愛いってところじゃなくて、中身にある。たまにうちの子も「よかったね、かわいくて、まつ毛長くて」って褒めてもらうことがあるんですけど、私は「中身で勝負するもんね」って1歳児に対して語りかけています。
見た目だけで得するような小さい人間になってはいけません。そういうところから、家の中の空気を作っています。例えば、セックスのことに関しては、親に話すべきだとは思いませんが、「生理」とか、女性ならではのトピックを「恥ずかしい」とか「はしたない」っていうのは思わずに、のびのび育って欲しいなと思います。そういうことの照れを、あと10年かけて払拭していこうと思います。
——「女性だから〜ができない」を取り除いてあげることによって、子どもの可能性を広げたいということですね。
もっとちゃんと理解してから、性について教えたいっていう親がいてもいいと思うのですが、タブーを払拭するっていうのは、すごくいいな、ポジティブだなって思います。当たり前に親と話してきたことだったら、それを恥じたり、隠そうとしたりすることもなくなるのかなと思います。20年後くらいに答えが出るかもしれないですけど。(笑)今から、楽しみです。
収録に行くまでは、不安でいっぱいだった
——『不妊治療破産』について話した第一回目の放送では、子どもを産みたい一心から高額な料金を払うことも厭わない女性の本音に迫っています。2016年に母親となったSHELLYさんは、彼女たちとどう向き合いましたか。
正直、収録に行くまではどういう形で番組を進めればいいのか不安でいっぱいでした。私ごとですが、晴れて2016年に子どもが産まれてきて、今無事に育てられています。番組の中には、子どもを諦めた方もいらっしゃいましたし、今不妊治療を頑張っているという方もいらっしゃいました。
番組に出演する当事者の方も、私がMCということを知っていたらネットなどで見て、「この人子どもをちゃんと産んでいるんだな」と思ったと思います。不妊治療せずに子どもを産んだ人に対して話しづらいのかなとか、話したくないこともあるだろうなとか、思い返せば行く前は考えすぎた部分がありました。
でも実際に行ってみると、皆さんが色々伝えたい、話したいという気持ちで来てくださったので、全然私は気をつかわず、「ただただ教えてください」という素直な気持ちで聞けました。皆さんもコメントに躊躇することもなく、「これがお金かかるのよ」「これが、言われて辛かった」みたいにたくさん話してくださって、本当にやりやすかったです。
——番組を拝見して、女性の「タブー」に迫る話をすると、ぐっと人との距離が近づくなっていう印象がありました。
いつもあの後飲みに行きたいなって思うんですよ。みなさんが最初から腹を割って話す感じで来てくださるのが大きいと思います。私が出演者の共通認識として感じたのは、皆さんの「伝えたい」っていう気持ちです。
特に第1回目のテーマである『不妊治療破産』は、出演者の方はいろんな人にここ何年も話をしてきて、不妊に対する感情がもう自分の中であるんですよね。その感情をあそこに爆発させにきているので、番組を見ている人の誤解や不安が少しでも解消されればいいなと思います。
Ladies Be Openのテーマの一つである「生理」についても、詳しく聞いています⇒
ハフィントンポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。
女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。
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