『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか』で食べログのことを少し書いたので、たまにお客様から「食べログって影響あるんですか?」と質問されます。
お答えします。食べログの影響はすごくあります。今、日本の飲食業界で一番大きい影響力のあるメディアはテレビよりも雑誌よりも食べログだと言っても過言ではないと思います。
みなさんも食べログ、利用しませんか?
「今週末、東京駅周辺で大阪から来る親戚と食事会しなきゃいけなくなったんだけど、あの辺なんて全然しらないしなあ」と思ったら一番はじめにどうしますか?
「東京駅 ディナー」で検索しますよね。そしたらもちろん、食べログが一番上に出てきます。そして中華にしようかな和食にしようかなとか色々検索の条件を入力しますよね。
そして一番上位の点数の良いお店から順に見ていくということをしていませんか? していますよね。そして、「悪い評価」とか「点数」とかは偏っている意見もあるから、とは理解しつつも、親戚とのお食事の場合は出来ることなら、少しでも評価が悪いところは避けたいですよね。
「店員の対応が悪い」とか「席と席の間が近すぎる」とか「タバコの煙の換気が悪い」とか書き込んであると、「うーん、あの叔父さん、そういうのうるさいからなあ。せっかく東京に来たんだから良いところにしなきゃ」と思うともう少し点数の高いお店にするはずです。
はい。食べログってすごく影響あるんです。
だからこそそれを逆手にとって、操作してお金をとる悪質業者も出てくるし、同業者があえて人気店に悪口を書いたりするんです。
※
もちろん僕もよく食べログは利用します。
「今はどんな飲食店が流行っているんだろう」って常にアンテナをはって、意識的に食べログはチェックします。
それでやっぱりいつも気になるのは「問題のある書き込み」です。
この投稿者、明らかに「味」のことわかってないのに、「不味い」の一言かあ、とか、こういう下町のカジュアルなお店に「店員のサービスが」って言われてもなあ、とか思うことがよくあります。
そしてそういうのって、僕は飲食業だから気がつくのですが、飲食店を普段あまり利用しない人には、こういう偏った意見って判別できないかもなあとも感じます。
あと、読んでいるのもイヤになるような「悪意のある誹謗中傷」もたまに見かけます。
僕ら飲食店の人間は「ちょっとでも悪いイメージ」を持たれないように日々、努力しています。
トイレの臭いや、季節を感じるお花、「ちょっとでも安く感じてもらおう」と日々「値付け」に悩んだり、商談をしているお客様なら静かな席にお通ししたり、タバコの苦手な方は風上に座っていただいたり。
それが「ちょっとした思いつきの感情」で悪口を書かれてしまうと本当にそのお店の人間は落ち込んでしまうし、明らかな営業妨害になる時もあります。
※
そこで食べログを運営している方に是非、提案をしたいのですが、例えばフェイスブックのアカウントからでないと投稿は出来ないというのはどうでしょうか?
日本人はやっぱり「顔も名前もわかっているのに、堂々と悪口を言う」という行為は避けます。そして、「顔も名前もわかっているのに悪口を書く」というのは、そうとう発言に責任を持って、世間に伝えたいことなんだなということがわかるので、投稿に信頼性が持てます。
そして、フェイスブックのアカウントだと、その人の住んでいる場所や服装の雰囲気や職業、友人達のアイコンの写真の雰囲気などである程度、読者が「普段、どういう食生活をしていて、どういう飲食店に通っているのか」が想像できます。
そして、もうひとつ提案したいのが、「投稿を評価する機能」です。「この投稿は信頼できないボタン」があれば、色んなことが解決すると思います。
その「この投稿は信頼できない」が「10」に達すると、その投稿は削除されるというのはどうでしょうか?
もちろん「この投稿者は信頼できないボタン」もあります。これが「30」に達すると食べログから退場というのはどうでしょうか? というのは、明らかに同業者で他の繁盛店を蹴落とすために「偽アカウント」を作って、誹謗中傷を書いているというケースも見かけるからです。
お店である以上、インターネットで評価されるのは仕方ないし、何も文句は言えないのですが、結構、「ひどい投稿に泣いているお店」をたくさん知っているので、出来れば食べログ運営者に届いてほしいなと思って、書いてみました。