シリアの民間救助隊は訴える「助けが欲しいのではない。殺戮をやめて欲しい」

「私たちが求めているのは、活動を継続するための支援ではありません」
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シリアの民間ボランティア救助隊「ホワイト・ヘルメット」が、建物の瓦礫の下から掘り出した犠牲者を運ぶ。7月23日、アレッポ北部にある反政府軍占領下のアル=ファードス地区への空爆後。

世界中の人々が、シリアの民間救助隊「ホワイト・ヘルメット」の活動を何年にもわたって賞賛してきた。

だから、部外者たちが善意で「自分たちにも何か手伝えることはないか」と尋ねてくるのはもっともな話だ。

ラエド・アル=サリー氏は、かつては電気機器の販売をしていたが、現在は2500人いるボランティアのリーダーとして働いている。ラエド・アル=サリー氏が支援を申し出る人たちに理解してもらいたいのは、彼らシリア人のボランティアたちは、緊急医療用品を受け取ることよりもっと大きな目標があるということだ。

「私たちが求めているのは、ホワイト・ヘルメットの活動を継続するための支援ではありません」と、アル=サリー氏は9月27日に行われたワシントン大西洋評議会の会合で語った。「それよりも、殺戮をやめさせ、私たちが今やっている悲惨な作業をなくしてほしいのです」

「私たちを英雄のように思う人たちもいます。しかし、私たちが引っ張り出している死体が自分の兄弟なのか姉妹なのか判別できないというのは、実に重苦しく、辛いものなのです」

アル=サリー氏とファルーク・ハビブ博士はホワイト・ヘルメットの訓練を指導している。現在、アメリカ各地を訪れてネットフリックスの短編ドキュメンタリー『ホワイト・ヘルメット』のプロモーションを行っている。

彼らがそのメッセージを届けにイベントを開催している間も、シリアでは殺戮が続いている。ドキュメンタリーの主役となっているボランティアの1人は、出演以来「迫害」を受けている、とアル=サリー氏は語った。ホワイト・ヘルメットによると、9月19日の休戦で救援物資の護送への攻撃が中止されて以来、バシャール・アサド大統領と同盟国のロシアの新たな空爆によってさらに1000人近くの民間人が殺されたという。アサド大統領とロシア軍はアレッポ内の反政府勢力が支配している地区に爆撃を続けている。

「アレッポには、シリアの一般市民が隠れたり逃げ込んだりする場所など、どこにもありません」と、シリアキャンペーンの通訳を通してアル=サリー氏は言った。「みんな家の中にただ座って、殺されるのを待つばかりなのです」

ホワイト・ヘルメットは27日までの8日間で1700回の空爆を記録している。そのうち約200回が国際的に禁止されているクラスター爆弾、19回がバンカーバスター(地中貫通爆弾)によるものだ。バンカーバスターは地下に隠れている人間を標的とする爆弾だとアル=サリー氏は説明した。彼は、救援隊員たちが瓦礫の下から死体を掘り出し、負傷した市民がアレッポの反政府勢力支配地区を出られずに死んでいくため、死者数はもっと膨れ上がるだろうと考える。

ロシアやアメリカが、シリアに平和を取り戻すと約束しているにもかかわらず、対立は長期化している。シリア政府の手口が残酷さを増して、より多くのシリア国民が安全とアサド大統領のいない未来を手に入れる最善の方法は、反体制派を支持することだと信じるようになっている。シリア専門家のチャールズ・リスター氏は外交研究誌「フォーリン・ポリシー」に、「アルカイダの神話が、アメリカ人の不適切な認識によって絶えず強まっている」と警告している。

アメリカは、6億ドル近い巨額の人道支援物資を寄付し、シリア内戦で被害を受けている人々に救いの手を差し伸べようとした。しかしオバマ政権は、アメリカの他の様々な計画、つまり反アサド派勢力を密かに支援し、クルド人の軍隊と協力してIS(イスラム国)と戦う、といった計画を組み合わせてシリアの恒久的な停戦に向けて広範な戦略を練っているかどうかについて、説明をしていない。

アサド大統領とロシアは、アレッポのような反政府勢力の占有地区を標的にし続けているが、それは IS だけに焦点を当てた戦略ではなく、専門家たちに言わせれば、民間人への被害を軽減し、シリアからの継続的な難民流出を防ぐ戦略とも考えられる。

「私たちが必要としているものは、暴力を終わらせるための政治的な意志と、道徳的な意志です」と アル=サリー氏はワシントンの聴衆へ呼びかけた。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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