シリア政府は29日、中部の都市ホムスで反体制派が拠点としていたカルディヤ地区を奪還したと宣言した。国営テレビが伝えたと時事通信が報じている。
NHKによると、ホムスは、反政府勢力にとって物資や人員を南のダマスカスや北のアレッポなどに移送するうえで戦略上重要な拠点で、政府軍は隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員と共にこの地区を包囲し、2週間以上にわたって激しい攻撃を続けていた。
現地の活動家によれば、アサド政権のシリア政府軍は1カ月に及ぶ戦闘の末、現在はカルディヤ地区の9割を制圧している。反体制派はホムスの一部地区を依然として支配しているものの、政府軍兵士は国営テレビに「ホムスの他地域でも、テロリストの掃討を続ける」と語った。
政府軍は先月も、反政府勢力がレバノンからの武器の調達の拠点としていた国境沿いの町、クサイルを奪還していて、反政府勢力の重要拠点に対し一段と攻勢を強めている。
■化学兵器使用に関する調査が進む
一方で、シリアで化学兵器が使われたかどうか国連による調査が進もうとしている。
国連調査団長のセルストローム氏は24、25両日にシリアを訪問してムアレム外相と会談し、現地調査の実施場所など受け入れ条件の詳細について協議した。
シリア政府は、反体制派が北部ハーンアサルで化学兵器を使用したと主張し国連に調査を要請したが、ハーンアサル以外での調査は拒否。国連側は使用が疑われる別の場所への立ち入りも求めていた。
シリア政府と国連は27日、シリアで化学兵器が使われたかどうかを調べる国連調査の受け入れ協議が「生産的」に行われたとする共同声明を発表。具体的な合意内容には言及していないが、調査実現に向け前進があったとみられる。
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