アメリカ、イギリス、フランスによる対シリア軍事作戦で、発射された巡航ミサイルと空対地ミサイルは、100発以上に上ったが、その大部分はシリアの防空システムが撃墜した、とロシア国防省が4月14日、独自の分析結果を明らかにした。ロシア紙「コメルサント」が報じた。
アメリカ側は作戦の詳細を公表しておらず、ロシア側発表の信ぴょう性は不明だ。
アメリカのトランプ大統領は、シリア政府軍が4月7日、ダマスカス近郊の東グータ地区に潜伏する反体制派を攻撃した際、化学兵器を使って民間人の犠牲者を出したと断定。13日(アメリカ時間)、アメリカ軍に指示し、イギリス、フランス両軍と協力してシリアの化学兵器関連施設3カ所を攻撃させた。艦船から巡航ミサイルを発射したほか、航空機が空爆した。
コメルサントによると、ロシア国防総省はこうした一連の軍事作戦を分析。紅海の艦船2隻から巡航ミサイルが発射されたほか、地中海方面から戦闘機、アメリカなどの前線基地があるシリア北東部タンフから戦略爆撃機「B-1」がそれぞれ飛行し、攻撃したと明かした。
ロシア国防省は、シリア政府軍側に配備された防空ミサイルs-125やs-200、ブーク、クバドラッドが迎撃したとした。いずれも「30年以上前にソ連時代に開発された兵器」と国防省は強調、アメリカなどの軍事作戦に効果がなかったことを印象付けるのが狙いとみられる。
ロシアの経済紙「ベドモスチ」によると、プーチン大統領は軍事作戦について、「アメリカの軍事行動は、シリアの人道危機をさらに悪化させた。罪のない人々を攻撃し、7年間にわたってシリア国民を苦しめてきたテロリストたちを利することになった。そして新たな難民も生み出すことになる」と非難した。