「ノーマルな頭の形」などない。黒人ヘア用の水泳帽が東京オリンピックで使用不可。決定に反発

「スポーツ界の構造的で組織的な不公平を強調する」と批判されています
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アフロやドレッドヘアなど、黒人に多いヘアスタイルにあわせてデザインされた水泳帽の使用が、東京オリンピックで認められなかった。

しかしこの決定に反発が起き、国際水泳連盟(FINA)は決定を見直すと発表した。

 “ノーマル”な頭の形などない

水泳帽をデザインしたのは、アフロやロックス、ブレードなど、黒人の自然な髪型に合わせた水泳帽を作るイギリスのブランド「ソウルキャップ」だ。

ボリュームのある髪型がフィットする、従来より大きめのデザインだが、FINAに競技大会での使用承認を却下された。

メトロによると、FINAは却下理由を「アスリートが国際大会でこのようなサイズや形の水泳帽子を使ったことはなく、必要としていない」と説明しているという。

さらにソウルキャップの水泳帽が「自然な頭の形に沿ったものではない」ために、競技大会用として不適応だと述べた。

この決定は、黒人の水泳選手らを落胆させ反発を招いた。

黒人のケジャイ・テラロングさんはBBCのラジオ番組で「他の人たちが使っているような小さな水泳帽はフィットするが、私は泳ぐ時、髪に保護用のオイルを塗っているために、何度もすべり落ちる」と明かしている。

また、イギリスの黒人水泳協会のダニエル・オビさんは「FINAの決定は、スポーツ界の構造的で組織的な不公平を強調するものであり、ダイバーシティの欠如を示していると思う」とガーディアンの取材で指摘した。

オビさんによると、オリンピック用の水泳帽は白人の髪型に合わせて作られており、アフロのような髪型にはフィットしない。

「私たちにはソウルキャップのような、空間とボリュームがある帽子が必要なのです。インクルーシブとは“ノーマル”な頭の形などないということです」とオビさんは述べている。

FINAの却下について、ソウルキャップはSNSで、「多くの若いアスリートが、地方や国、国際レベルでの競技するのを妨げる」と批判した。

そして「若い水泳選手たちにとって、自分たちが受け入れられていると感じることや、自分たちがスポーツの代表になっているのを目にすることは、必要不可欠です」と若い黒人の若者たちのためにも、多様な水泳着を認めるべきという考えを示した。

スポーツと髪型で選択を迫られなくていい社会に

様々な批判を受けてFINAは7月2日、「競技に有利にならない限り、FINAはすべての水泳選手が適切な競技用水泳着にアクセスできるようにする」と述べ、ソウルキャップの申請却下を見直すことを発表した。

ソウルキャップは、マイケル・チャップマンさんとトクス・アハメド=サラディーンさんによって設立されたブランドだ

イギリスでは、水泳をしたことのある黒人が非常に少なく、ふたりも子どもの頃に水泳を習わなかった。

大人になった2017年に初めて教室で水泳を習った時に、アフロヘアが水泳帽にフィットせずに困っている女性に出会った。

このことがきっかけでアフロヘアやブレード、ロックスなどボリュームのあるヘアスタイルにフィットする水泳帽がないことに気付き、自分たちで作ろうとソウルキャップを立ち上げた。

ふたりは 「私たちの水泳帽子の競技大会での使用が承認されることで、多様性の取り組みが進んで欲しい。どのレベルの水泳選手も、スポーツと自分の髪型とで選択を迫られることがないようになって欲しい」とSNSに投稿している