核のゴミ最終処分場、スウェーデンは決めた「透明なプロセスが大事」

「核のゴミ」とも呼ばれる原子力発電所の使用済み燃料(放射性廃棄物)の最終処分場について、建設用地が決まったスウェーデンの専門家が来日し「透明なプロセスと責任の明確化が大事」と述べた。
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「核のゴミ」とも呼ばれる原子力発電所の使用済み燃料(放射性廃棄物)の最終処分場について、建設用地が決まったスウェーデンの専門家が来日し「透明なプロセスと責任の明確化が大事」と述べた。

NHKニュースは、スウェーデンで核のゴミの処分を行う会社の社長・マグナス・ホルムクビスト氏が、経済産業省の会議で講演した内容を伝えている。

ホルムクビストさんは、「スウェーデンでは、当初、日本と同様に、公募で処分場の選定を目指したものの住民の反対などで進まず、処分を行う会社が全国の地質を調べたうえで、処分場に適した場所の中から原子力施設が立地する自治体に絞って申し入れた」と決定に至る経緯を説明しました。

そのうえで「処分場の選定には住民の理解と信頼が不可欠で、透明なプロセスを示すことと責任の所在を明確にすることが大切だ」と訴えました。

(NHKニュース「核のゴミ処分 スウェーデンは」より 2013/11/20 16:07)

一般財団法人「高度情報科学技術研究機構」によると、スウェーデンでは2011年2月現在、10基の原発があり、国内の電力の50%をまかなっている。最終処分場の選定は、以下のような経緯があった。

1990年からエスポ島硬岩地下研究施設(HRL:Hard Rock Laboratory)で処分技術の実証研究が行われた。使用済燃料の地層処分の実施まで、一般的なフィージビリティ研究、サイト調査、詳細調査と建設、実証的処分と評価、フル操業という段階的措置が取られている。

当初の6自治体でのフィージビリティ研究の結果、SKBは、2000年11月にオスカーシャム(Oskarshamn)、エスタマ(Osthamma)、ティエルプ (Tierp)の3自治体に絞ってサイト調査を開始した。その後、世論調査機関TEMO社による世論調査の結果、オスカーシャムとエストハンマル自治体住民が処分場受け入れを支持していることが明らかになり、2つの候補地においてボーリングなどによる詳細な地質調査を実施し、2009年6月、エストハンマル市のフォルスマルクを地層処分施設サイトに選定した。

(ATOMICA「外国における高レベル放射性廃棄物の処分(4)-独、スウェーデン、フィンランド編- (05-01-03-17) 」より 2011/02/00)

スウェーデンの原子力発電事業4社が共同出資する廃棄物管理会社「SKB」は、最終処分場の操業開始を2029年と見込む。公益財団法人「原子力環境整備促進・資金管理センター」のホームページが以下のように伝えている。

SKB社は、今回のRD&Dプログラム2013において使用済燃料の処分事業スケジュールを見直しており、使用済燃料の処分場の建設開始を2019年、操業開始を2029年とする計画を提示した。前回のRD&Dプログラム2010で提示したスケジュール に比べて処分場の操業開始を3年半遅らせている2 。SKB社は2011年3月に、フォルスマルクでの使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書を放射線安全機関(SSM)及び環境裁判所に提出しており 、現在、安全審査が行われている 。安全審査プロセスがSKB社の当初の想定よりも長引いていることを踏まえ、規制機関や自治体等の関係機関が申請書のレビューや意見提出に費やす時間を十分確保できるように設定したとしている。

(公益財団法人 原子力環境整備促進・資金管理センター「スウェーデンSKB社がRD&Dプログラム2013を公表:使用済燃料の処分開始を2029年に設定 « 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分」より 2013/10/02)

日本では、最終処分場を国が主導して選定する方針を決めた。朝日新聞デジタルが以下のようにまとめている。

高レベル放射性廃棄物は地中深く埋めて最終処分する。電力会社などが出資する原子力発電環境整備機構(NUMO)が2002年から候補地を公募しているが、住民の反対もあり、処分場に適しているかどうかの調査を受け入れた自治体はひとつもない。

最終処分場をめぐっては、小泉純一郎元首相が「これからメドをつけられると思う方が楽観的で無責任だ」と批判し、「原発ゼロ」を訴えている。

(朝日新聞デジタル「最終処分場、国主導の選定に 100以上の候補地提示」より 2013/11/20 09:59)

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