ロシア軍の侵攻で激戦が続くウクライナ東部ドネツク州の被害が世界的な注目を集めている。ウクライナ政府の支配地域にあるスヴャトヒルシク大修道院の木造聖堂が、6月4日に炎上したからだ。ウクライナの大統領顧問は、ロシア軍による攻撃の結果として「何も神聖に思わないロシアの蛮行」と強く非難している。
■「戦闘の結果、大規模な火災が発生」とウクライナ正教会が動画などを投稿
ウクライナ正教会の声明をCNNが報じたところによると「戦闘の結果、大規模な火災が発生して炎が本堂を飲み込んだが、これまでのところ、死傷者は報告されていない」という。
ウクライナ正教会は激しく燃える木造聖堂の写真と動画を、Facebookに投稿している。
■「何も神聖に思わないロシアの蛮行」ウクライナ大統領顧問が激しく非難。ロシアは否定
ウクライナのポドリャク大統領顧問は修道院に市民が避難していたことを公式Twitterで明かした上で、「何も神聖に思わないロシアの蛮行」という強い表現を使って以下のように非難した。
「難民の避難所となっている正教会のスヴャトヒルシク大修道院の本堂が、ロシアの攻撃で燃えている。何も神聖に思わない 『ロシアの蛮行の世界』 が悪魔のように笑っている。ウクライナは鉄のカーテンの背後へと悪魔を追い返すだろう」
CNNなどによると、最初に建造されたのは16世紀にさかのぼるが、現在の建物はウクライナ独立後の2000年代に再建されたものだという。16〜17世紀のロシア木造建築の様式を使っていたとされる。
一方でロシア政府は、今回の火災はウクライナ側によるものだと主張している。「ウクライナの民族主義者が6月4日、スヴャトヒルシクから撤退した際に木造聖堂に放火した」とするロシア国防省の発表を国営タス通信が伝えた。