スズキの筆頭株主であるドイツのフォルクスワーゲン(VW)が、全株式を手放すことになった。提携解消を求めていたスズキの訴えを国際仲裁裁判所が認め、VWに対してスズキ株を全て売却することを命じた。スズキが8月30日に発表した。
朝日新聞デジタルによると、スズキとVWは2009年12月に資本業務提携を結んだが、環境技術の供与や、経営の独立性をめぐる思惑のズレが次第に顕在化した。スズキは2011年9月に提携の解消を決めたが、VWが株の売却を拒んだことから、同年11月に国際商業会議所(本部・パリ)の国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てていた。
VWはスズキの株式の5分の1に当たる19.9%を取得していたが、国際仲裁裁判所は29日付で「スズキが合理的に決定する方法によりスズキまたは、スズキの指定する第三者へ処分することを命じた」という。
47NEWSによると、スズキが環境対応車の開発に必要な巨額の研究費を単独で負担するのは難しいと見られている。VWとは別の自動車メーカーに株式を引き受けてもらい資本・業務提携に踏み切るなど、生き残り戦略の見直しを迫られることになる。
鈴木修会長(右)と、鈴木俊宏社長
■軽自動車トップのスズキ
コトバンクによると、株式会社スズキは軽自動車でトップ、2輪車で国内第3位のメーカー。本社は浜松市南区。 1909年に鈴木式織機製作所として創立された。織機の生産を主体としていたが、1950年代にバイクと軽自動車に参入。自動車産業へと転身し、インドなど新興国市場で実績がある。
2008年に鈴木修会長(当時は社長兼務)は、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)との資本提携を解消。その翌年、2009年12月に「次の道筋をつけるまでが私の仕事」と、VWとの包括提携をまとめた。しかし提携からわずか2年たらずで両社の関係は決裂。鈴木会長は国際仲裁裁判所への申し立ての結果を待っていたが、「待つ限界を超えた」として2015年6月に社長の座を、長男の鈴木俊宏氏に譲った。
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