スーパーが1日の営業を終えた時、残った生鮮食品は一体どうなってしまうのだろうか。
何らかのかたちで再利用されるものもあれば、単に捨てられるものもある。けれども、そういった食品廃棄物が、スーパーのエネルギー自給に役立つとしたらどうだろう?
イギリスの大手スーパーマーケットチェーン「セインズベリー」のある店舗では、食品廃棄物を利用してエネルギーを自給。近く、通常の送電網からの電力受け入れを停止する予定だという。
セインズベリー社は、イギリスのゴミ処理ならびにリサイクル業者大手であるビッファ(Biffa)社と提携して、エネルギー自給自足を実現させようとしている。
イギリス各地にあるセインズベリー店舗の食品廃棄物は、同社の配送トラックで、スタッフォードシャー州にあるビッファ社の生物分解プラントへ運ばれ、そこでバイオガスに変換される。そのバイオガスを燃焼させれば、プラント近くのキャノックという町にあるセインズベリー店舗のエネルギーがまかなえるというわけだ。
「セインズベリーは、通常のゴミ埋立地にゴミを一切運びません。われわれは常に、リユースならびにリサイクルの新しい方法を模索しています」。同社で持続可能性に関する部署を率いるポール・クルー氏は、プレスリリースの中で述べている。「(我が社が)こうした技術のタイアップを活用する史上初の企業となり、キャノック店を食品廃棄物によるエネルギーのみで運営できるようになることは大変光栄なことです」
セインズベリーで出るすべての食品廃棄物が、バイオガスに変換されるわけではない。同社は、無駄になる食品を一切出さないよう、慈善団体と手を結び、恵まれない人々に食べても安全な食品を寄付したり、リバプールにあるノーズリー・サファリパークの動物たちの餌として提供したりしている。
バイオガスは再生可能燃料の一種で、大きなタンクの中で無酸素状態(嫌気性)のバクテリアが食品などの有機物を分解する際に発生する。これを嫌気性消化と言う。イギリス国内でこの処理法を最も活用しているのがセインズベリーだ。リリースの中で同社は、「毎年、2500世帯をまかなえるだけのエネルギー」を作り出していると述べている。
バイオガスの主成分はメタン(メタンが50~75%、二酸化炭素が25%~50%)で、燃焼させずに放出すると強力な温室効果をもたらす。燃料を燃やすと二酸化炭素が発生するが、かつては地中深くに隔離されていた炭素を排出する天然ガスや石炭、石油と違い、バイオガスはカーボンニュートラル(地表上の炭素総量の増減に影響を与えない資源の利用形態)だ。すでに炭素循環の一部である(動植物から生まれた再生可能な)有機性資源から発生したものだからだ。
バイオガスによる発電は、エネルギーを必要とする地方にとっての解決策となりうる。風力ならびに太陽光は天候に左右されて一定しないが、バイオガスはそれよりも安定性が高い。しかも、嫌気性消化は必ずしも食品廃棄物を必要としない。家畜の糞尿やその他の農業廃棄物もまた、バイオガスに変換可能だ。
セインズベリー、生ゴミからエネルギーができるまで
日本では、東京のスーパーエコタウンにあるバイオエナジー社が、生ごみを電気と都市ガスにリサイクル(東京で出る事業系食品廃棄物の5%を処理)しているほか、神戸市では下水処理場等からのバイオガスを都市ガスに導入している。また、大阪ガスは小規模施設用の小型バイオガス化システムを開発して実証実験を行っている。
文末スライドショーでは、アメリカにおける再生可能エネルギーの種類を説明している。2011年には全ての消費エネルギーのうち再生可能エネルギーが9%を占め、そのうちソーラーは2%、地熱は2%、廃棄物活用は5%、風力は13%、バイオ燃料は21%、木材は22%、水力発電は35%。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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