竜巻を生み出すスーパーセルとは? 栃木と埼玉の竜巻を引き起こした可能性強まる【写真】

関東地方に竜巻が相次いで発生し、家屋の一部が吹き飛ばされたり、けが人が出るなど多大な被害をもたらしている。では、埼玉県越谷市周辺で527棟の建物が損壊。では、栃木県矢板市周辺で173棟が被害を受けていた。これらの竜巻は、いずれも巨大積乱雲「スーパーセル」が引き起こした可能性が強まっている。
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Osage County, Oklahoma.
Getty

関東地方に竜巻が相次いで発生し、家屋の一部が吹き飛ばされたり、けが人が出るなど多大な被害をもたらしている。9月2日の竜巻では、埼玉県越谷市周辺で527棟の建物が損壊。9月4日の竜巻では、栃木県矢板市周辺で173棟が被害を受けていた。これらの竜巻は、いずれも巨大積乱雲「スーパーセル」が引き起こした可能性が強まっている。

NHKニュースによると、スーパーセルは昨年5月に茨城県つくば市などで大きな被害が出た竜巻の際にも発生していた巨大な積乱雲。内部に強い上昇気流や渦があり、通常の積乱雲に比べて消滅するまでの時間が長いことから、大規模な突風災害を引き起こすことがあるという。気象庁気象研究所の加藤輝之氏の分析として報じている。

9月2日の竜巻について、MSN産経ニュースでは気象庁の分析を伝えている。それによると、スーパーセル内部には回転しながら上昇する渦状の気流「メソサイクロン」を伴う。観測レーダーでは2日午後2時ごろ、雨粒が渦を巻き始めるなどメソサイクロンの特徴を確認したことで、スーパーセル発生と断定した。

レーダーには発達前の積乱雲が午後1時35分から観測され始め、わずか約25分ほどでスーパーセルへと成長。20キロ四方に広がり、「通常の積乱雲より巨大」(気象庁担当者)だったという。

このときの積乱雲の様子を、防災科学技術研究所がCGで再現することに成功した。積乱雲が急激に発達して高さ15キロを超えていく姿など、竜巻発生前後の計1時間あまりの動きを追っている。

9月4日の竜巻についても、時事ドットコムが、気象庁予報課の松本積予報官の会見を伝える記事の中で、スーパーセルの可能性について指摘している。

気象庁のレーダー観測の結果、栃木県矢板市と鹿沼市の付近で、午前11時40分ごろから午後1時20分ごろにかけ、発達する積乱雲が北東へ移動していたことが判明。この積乱雲にもメソサイクロンが観測されており、こちらもスーパーセルだった可能性があるという。

スーパーセルは大気が不安定な状態になると生まれると言われる。47NEWSでは9月2日の竜巻について、地表付近に暖かく湿った空気が強く流れ込んだのが一因とした上で、「地球温暖化が進行すると、日本では激しい竜巻の発生しやすい気象条件が増える」という気象庁気象研究所の予測を伝えた。

気象庁は「竜巻から身を守る~竜巻注意情報~」というリーフレットの中で、「発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、頑丈な建物内に移動するなど、安全確保に努めてください」と訴えている。