「自殺を考えるつらい気持ち」電話で受けます 東京自殺防止センター、創設者の遺志受けボランティアら活動

NPO法人「国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター」(東京都新宿区)は毎晩、ボランティアの相談員が電話相談を受けて自殺防止に努めている。創設者の西原由記子さんは2月に脳梗塞のため80歳で亡くなったが、所長の村明子さんは「その遺志を受け継いでいきたい」と話す。
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中野渉

本当に死にたい人はいない。しかし、死を思うまで追い詰められることは、長い人生では起こるかもしれない--。NPO法人「 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター」(東京都新宿区)は毎晩、ボランティアの相談員が電話相談を受けて自殺防止に努めている。センター創設者の西原由記子さんは2月に脳梗塞のため80歳で亡くなったが、所長の村明子さんは「その遺志を受け継いでいきたい」と話す。

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電話相談を受けている東京自殺防止センター=東京都新宿区

東京自殺防止センターは、毎晩午後8時~午前6時、4人のボランティア相談員が交代で電話相談を受けている。西原さんの遺志を受け、相談者の話を無条件、無批判に聞く。相談員は、研修を受けた会社員や主婦ら約50人だ。

センターにはひと月に約1100件の相談が来る。年間では約1万3千件。村さんによると、最近は「人間関係がうまく結べない」「孤独だ」といった相談が目立つ。また、若い人たちからの就活に絡んだ相談も多いという。

2013年の自殺者は、内閣府統計によると、約2万7千人だった。2012年に全国の自殺者数は15年ぶりに3万人を下回ったのだが、センター創設者の西原さんはその最大の功労者の一人とも呼ばれた。

大阪で「いのちの電話」相談員をしていた西原さんは、牧師で夫のさんと、いじめでの自殺に心を痛め、1978年に大阪で自殺防止センターを開いた。1998年、西原さんらは上京し、かつて幼稚園だった教会の部屋を借りて、東京自殺防止センターを始めた。

西原さん夫婦は、自殺防止のため、全国を飛び回って講演したり、ボランティア相談員の養成も手がけたりするなどの活動もした。

西原さんは、2004年の新潟・中越地震の際には現地に入った。1995年の阪神・淡路大震災で被災者の心のケアにあたったが、その経験をもとに支援活動をした。さらに、東日本大震災のときは岩手・遠野まで支援のため何度も通った。明さんが2009年に他界してからも、精力的に活動してきた。

西原さんは生前、「心の奥にしまっているつらさを、うまくリードして話してもらう」と話していたという。村さんらセンターの人たちは、今後も研修や講演を続けて自殺防止に取り組む。

ボランティア応募などの問い合わせはセンター事務局(03-3207-5040)まで。年3回、1、5、10月に募集している。またセンターは、自殺者遺族の集いを毎月最終日曜日に開いている。

センターは、国際ビフレンダーズというイギリスで発祥した国際的な組織に参加している。「友達のように寄り添う」という考えで活動する国際ビフレンダーズは、国内では東京、大阪のほか岩手、宮崎など全国6カ所に広がっている。

東京自殺防止センターへの電話相談は、03-5286-9090(午後8時~午前6時、年中無休)まで。