杉田水脈議員のLGBT差別寄稿問題から1ヶ月が経った。これまで本人の辞職や謝罪等の対応はなく、ツイッターも更新が止まっている。
LGBTの子を持つ親らが今朝、自民党本部で杉田水脈議員の謝罪会見や差別をなくすための法整備を求める署名、約2万7千筆を提出した。
杉田水脈議員は沈黙したまま
LGBTは「生産性がない」。先月23日、月刊誌『新潮45』に杉田議員がLGBTに関する差別的な文章を寄稿、批判が殺到した。
7月27日には自民党本部前で約5000人が抗議の声をあげ、今月1日には自民党が「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」という異例の声明を発表した。しかし本人への対応は「注意」のみにとどまった。
翌2日、杉田議員の事務所より「自民党性的指向・性自認に関する特命委員会の古屋圭司委員長からご指導をいただきました。真摯に受け止め、今後研鑽につとめて参りたいと存じます」とコメントが発表された。
以降、本人の辞職や謝罪はなく、ツイッターも更新も停止。沈黙を続けている状態だ。
「悪いことをしたら、まず謝りなさい」
署名を提出したうちのひとりで、トランスジェンダーの子を持つ小林りょう子さんは、杉田議員の寄稿に対して「傷ついたし、腹が立ちました」と話す。
「(私の子どもが)いらない、必要じゃないと言われているように感じました。また、女性であり、母であるという立場からも、産む産まないという問題はとても敏感です。生産性で人を測ることに非常に怒りを感じました。やはり議員という立場の人が言ってはいけない内容だったと思います」。
杉田議員に対し、人として「まず、謝りなさい」と伝えたいと小林さんは語る。
「"悪いことしたら謝りなさい" 子どもが悪いことしたら、私はそう伝えてきました。彼女は間違った、悪いことを言っています。まず『ごめんなさい』でしょうと言いたいです」。
今回、自民党本部前での抗議を見て、LGBTだけでなくさまざまな立場の人が声をあげていたのを見て「勇気をもらった」と話す小林さん。署名を提出しようという気持ちににつながったという。
まず自分の子どものため、そしてこれからの子どもたちの笑顔を守るために「誰かが立ち上がらないといけないと思ったんです」。
そんな小林さんがLGBTの子どもたちに伝えたいことは、「あなたはあなたらしく生きていい。応援してくる人はいっぱいいます」。
さらに、同じLGBTの子を持つ親に対して、「あなたはひとりじゃない。仲間がいっぱいいます。ひとりでがんばらないで、連携していきましょう」。
杉田議員が平然と議員を続けられる現状を変えるために
杉田議員はこのまま隠れ続けるのか。自民党もこのような議員を野放しにし続けるのだろうか。
自民党は9月20日に総裁選の投開票を控えている。候補者の一人、石破茂元幹事長は28日の会見で、LGBTに対する差別をなくす法律の整備について「差別や権利侵害をなくすために実効性のある法律であって欲しい」と発言している。
今回の杉田議員の寄稿問題は、LGBTに対する差別があるという現状の証左だ。LGBTに関する法整備も作業が進みはじめているようだが、こうした議員が平然と議員を続けられてしまうような現状を変えるためにも、「差別をしてはならない」という、実効性のある"基本的なルール"としての法律を求めたい。
(2018年8月31日fairより転載)