【UPDATE】(2018/03/08 18:25)
藤井聡太六段と杉本昌隆七段の対局は、111手までで藤井六段が勝利。師弟対決は「弟子」に軍配が上がった。
将棋の藤井聡太六段(15)と師匠である杉本昌隆七段(49)の対局が3月8日、関西将棋会館(大阪市)で始まったが「千日手」(同一局面が4度現れること)が成立。指し直しとなった。
両者が残した持ち時間はそのまま(藤井1時間6分、杉本1時間2分)、先手・後手を入れ替えて指し直される。
この日の対局は、第68期王将戦1次予選2回戦の対局。藤井六段と杉本七段が公式戦で相見えるのは初めて。
将棋界では、公式戦で弟子が師匠に勝つことを「恩返し」と呼ぶ。記念すべき"師弟対決"を制するのは師匠か、弟子か――。その勝敗の行方に、注目が集まっている。
午前10時から始まった本局は、杉本七段が得意戦法の「中飛車」を採用。弟子とのガチンコ勝負に臨んだ。これに対し藤井六段は「下段飛車」で構えた。
午後1時18分、59手目で「千日手」が成立。指し直し局は、30分後の午後1時48分から始まった。
指し直し局で杉本七段は「四間飛車」を採用。これに対し、藤井六段は「居飛車穴熊」で自陣の「玉」を守る構えのようだ。
藤井六段は2月の「将棋朝日杯オープン戦」で羽生善治竜王や広瀬章人八段を破り、中学生初の棋戦初優勝を達成。現在、公式戦では13連勝中だ。
■初の師弟対決、昼の「勝負メシ」は...
記念すべき初の師弟対決、気になる両者の昼食注文は...?
杉本七段は「そば定食、いなり寿司」。一方の藤井六段は「親子丼、冷たいうどん」。両者ともに「ご飯もの」と「麺類」を選択し、午後に向けてエネルギーを蓄えた。
デビュー以来、快進撃が続く藤井六段だが、対局の際に注文した食事も話題になっている。
読者の中には、「なぜ棋士の食事に注目が集まるのか」と疑問に思う方もいるかもしれない。
だが、「たかが食事」と侮るなかれ。意外かもしれないが、将棋ファンの間では、棋士の食事が観戦ポイントの一つとして定着している。
食事には、棋士の個性が表れることが多い。6月に現役を引退した加藤一二三九段は大食漢で知られ、「昼も夜も、うな重」の伝説で有名だ。棋士の食事を題材にした松本渚さんの漫画『将棋めし』も人気だ。
松本渚さんは、ハフポスト日本版のインタビューに「食事も一緒で、棋士の食事を知ると、その棋士が急に人間味を感じられる」と語っている。
時には、食事の選択が勝負の趨勢を分けることもあるようだ。『将棋めし』の監修を務める広瀬章人八段は、「自分より格上のうな重を注文され、やられたと思った。劣等感から対局も負けてしまった」と、自らの体験を産経WESTの取材に披露している。
たかが食事、されど食事なのである。