子供を育てるのはお金がかかることだ。アメリカ政府が、毎年子育てにかかる費用の推計値を発表しているが、最新調査では2013年に生まれた子供が18歳になるまでにかかる費用は、30万4480ドル(約3758万円)にもなるという。
しかし、これは住宅費や食事、教育費などにかかる費用で、両親が感じる「ストレス」の費用は含まれていない。その「ストレスを解消するためコスト」を計算した興味深い研究が発表された、と調査データをまとめるサイト「FiveThirtyEight」が伝えている。
この研究を行ったのは、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校経済学部のダニエル・ハマーメッシュ教授と、メルボルン大学の2人の共同執筆者だ。彼らはオーストラリアとドイツで長年にわたって調査されている「子供のいる世帯といない世帯、それぞれが感じる時間とお金に関するストレスの度合い」を調べてまとめた。
これまで「育児にかかる時間」の費用についての調査はあったが、「育児にかかる心理的負担」を数値化したのは今回が初めてだと、ハマーメッシュ教授らは述べている。
調査が特に注目したのは「時間的ストレス」だ。時間的ストレスとは「自分のための時間が十分に取れない」と感じる時に生じる不安感やイライラのことだ。
レポートによると、子供1人あたりにかかる時間的ストレスは1年で約6万6000ドル(約800万円)で、「これは1年分の世帯収入に相当する」とハマーメッシュ教授は話す。
また、もう一つ面白い発見があった。それは「出産後、母親の時間的ストレスが大幅に高くなる」ということだ。父親の時間的ストレスも増したが、母親の3分の1ほどにすぎなかった。
母親のストレスは、父親が育児に積極的に携わったケースでもなくならず、子供が生まれてから3~4年は高いままだったという(3~4年以降のデータはなかった)。
また時間的ストレスは、子供が1人目であっても2人目であっても3人目であっても同じように高くなり、幼い子供がいる家庭にさらに赤ちゃんが生まれた場合、母親のストレスは一層高まった。
さらに、最終的に母親の時間的ストレスが子供を持つ前の水準に下がることはなかったという。
注意すべきなのは、ハマーメッシュ教授が「この費用はあくまで推定値にすぎない」と強調していることだ。しかし、いずれにしても時間的ストレスを解消するのはお金がかかることだと教授は述べている。
子育ては確かにストレスがたまる大変なことだ。瞑想したりエクササイズをしたりしてストレス解消しながら子供に向き合い、そして子育てからはお金では表せない大きな喜びや満足感も得られることを忘れないようにしたい。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]
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