驚くような場所で、新しい友に出会うことがある。たとえば、ジャングルの真ん中などだ。
エクアドルのジャングルで、過酷なアドベンチャーレースに参加していたスウェーデンのチームが、競技中に一匹の汚れた野良犬と出会い、その犬と一緒に熱帯雨林を踏破した。アーサーと名付けられたその「チームメイト」は、メンバーの1人の家に引き取られ、幸せな生活を送るチャンスを手に入れた。
総勢4人からなるチーム「ピークパフォーマンス・アドベンチャー・レーシングチーム」は、11月7日から19日(現地時間)にかけてエクアドルで行われた「アドベンチャー・レーシング・ワールドチャンピオンシップ」に出場していた。約1週間をかけて、トレッキングや、マウンテンバイク、カヤックなどで700キロメートル近くを踏破する過酷な冒険レースだ。
同サイトのレース報告によると、アーサーは、このチャレンジの最終ステージの出発前からチームと行動を共にし始めた。そして、ぬかるんだジャングルの中を抜ける間も、ずっと一緒について来たという。
「すべては、アーサーにミートボールをひとつ与えたことから始まりました。その日の長いトレッキングに備えて、チームが食事をしていたときのことです」と、同チームのキャプテン、ミカエル・リンノルドは、チームのウェブサイトに掲載されたインタビューで語っている。
「出発したときは、他のいくつかのチームと一緒だったので、アーサーが私たちについて来ているとは思っていませんでした。他のチームと別れても、まだそばにアーサーがいるのと気付くまではね」と、リンノルド氏は語る。「休憩を取ることにしたときには、アーサーもクタクタに疲れ果てた様子でした。それで、缶詰の食料を2つ開けて、アーサーに食べさせました。ジャングルの中でこの犬が食べ物を探すなんて、無理だと思ったんです」
チームがカヤックで川を渡ろうとしたときには、競技関係者から、安全上の理由から、犬は同行させないようにとの勧告を受けた。けれどもアーサーは、自分だけが川岸に残されるのを拒んだ。
「マイク、サイモン、ステファン、カレンは、それぞれのカヤックで出発した。でもアーサーは、置いて行かれまいとして川へ飛び込み、泳ぎ始めた」と、チームはFacebookへの投稿で記している。「僕たちは胸がいっぱいでどうしようもなくなった。それでミカエルがアーサーを、自分のカヤックに引き上げた。5人(!)のチームメイトが揃って渡河を始めるのを見て、岸にいた人たちは全員が立ち上がって拍手をしてくれた」
チームのウェブサイトによると、アーサーは、チームの4人と一緒にレースのフィニッシュラインをまたいだ。チームはその後、PayPalのアカウントを開いて、アーサーを支援してもらうためのお金を募ることにした。アーサーの背中には、半年ほど前のものと見られる大きな傷があり、治療が必要だったからだ。
そして、スウェーデン行きの飛行機に乗せられたアーサーは、11月21日に、ストックホルムのアーランダ空港に降り立った。
その後、正式にアドベンチャー・レーシングチームの一員に加えられたアーサーは、リンノルド氏やその家族と共にスウェーデンで暮らすことになるという。
この記事は最初にハフポストUS版に掲載されたものです。
[日本語版:水書健司/ガリレオ]
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