「姑息な姿、見るに堪えない」 復興予算流用に怒りのコメント続々

「血税」を財源とする復興予算が流用されていた実態を受け、国民の怒りは頂点に達しつつある…
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Japanese 10,000 yen banknotes are arranged for a photograph in Tokyo, Japan, on Monday, Feb. 25, 2013. The yen's protracted climb against the dollar over the past four decades is over, said Makoto Utsumi, a former top Japanese currency official. Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg via Getty Images
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「血税」を財源とする復興予算が、被災地とは直接関係のない事業などに流用されていた実態を受け、政府に対する国民の不信感は急速に高まりつつある。6月28日に掲載した「復興予算流用また発覚 電力会社のコスト負担、電子書籍事業でも」の記事へは怒りのコメントが多く寄せられた。

今年から『復興増税』を払っている、というより徴収されています。納得しがたい気持ちを、復興に使われるなら、とおさめました。これまでの流用にも憤りを覚えていましたが、まさか電力会社のコスト負担に使われているとは!たとえ何円の単位であっても、復興増税は出したくありません。

(Sayuri Saitoさん)

上記のようなコメントは多くの読者にとって共感できる内容だろう。「被災地のためになるのなら」と長年にわたる増税を受け入れた私たちにとって、政府のあまりにもずさんな予算の使い方はまるで「詐欺行為」のようだ。

■怒りのコメント続々

「国の要請で原発を止めたから」と言う理由は良く解る話。総理大臣の一声で法的根拠も無く止まった訳だから。しかし、復興予算を充てると言うのは筋違いな話。本来なら、損害賠償を請求すべき話だと思うが。書籍のデジタル化事業も論外ですね。この姑息な姿は、見るに堪えないな。(mur1956さん)

流用問題の当事者である経産省には「不要、無用、無能な省」だという批判が。

経産省って、そもそも日本の国家に必要?中身のない「カタカナ標語のアドバルーン」あげて、予算を使って、国益マイナスの事業をつづけるだけ。存在意義がないから、こういうアドバルーンをあげるんだろう。個人的には、「不要、無用、無能な省」だと思います。(zatunenさん)

何でも無理やり復興に結び付けて予算化する役人の能力には、呆れるばかり。折角の頭の良さ、使い方が違うよね。特に、”被災地域の書店等が失われたことにより地域住民の知へのアクセスが困難になる”から電子書籍を作ろうって、役人にしか理解できない論理展開だよね。復興予算で、自宅の増築支援してくれないかな、東北の木材を使うってことで。東北でゴルフってのも、れっきとした復興支援になりそうだ。要は何でもあり。(Rukahiさん)

これこそ中央集権の弊害だという声も。

中央集権の良くない面の最たるもの。彼らは責任を問われないので好き勝手ができる。そして政治家はそこまで細かくチェックしない。復興予算は現場の責任者、県知事に渡し県の議会で予算を組み、官僚はそれをバックアップという形のほうが合理的な運用が期待できる。(kgwdgkさん)

どうして官僚が行う施策は、被災者・消費者・納税者といった個人が直接受益できるものではなく、生産者側への予算投入になるのでしょう?不思議でなりません。(yamagooさん)

「原発なき復興」のためには、電力会社への支援は妥当ではという意見もあった。

電子書籍はなんだかよくわかりませんが、しかし電力会社への支援は、復興として違和感ないと思うのですが、世間的にはダメなんでしょうか。まぁ、こそっと予算を付け替えてるというところが問題だといえばそうなのでしょうが。そもそも「原発はもう動かすな」ということですべての原発を停止させ、そのために電力供給をやりくりする必要が生じて中古品じみた火力発電所までフル稼働するに至ったわけで、原発をこのまま止めておくなら、急場しのぎに動かしている火力発電所への手当は必須ですし、その支援というのは「原発なき復興」ということを考えれば妥当だと思うのです。(SYODA-Tuyanoさん)

■元総務大臣の民主・原口氏はフェイスブックでコメント

民主党・菅内閣で総務大臣を務めた原口一博衆院議員は、流用問題について、フェイスブックの公式ページで以下のようなコメントをしている。

東日本大震災の復興予算について決算ベースでのチェックを加速させている。復興予算の「流用」問題が、様々なところで指摘されている。その中身を見るとまさに本末転倒で復興予算に名を借りた各省の予算どりという批判を受けても仕方がないのではないかと思えるものもある。その中には国庫への返還を求めるべきものもあるのではないかと考える。被災地以外にも「流用」されているという怒りは、国の政策に対する信頼を根本から失わせてしまう。お辛い避難生活をされておられる被災者の方々をはじめとして、こんなに申し訳のないことはない。(2013年6月30日付の投稿より抜粋)

真摯な反省を行い、その怒りに正面から向き合い改革を進めなければならない。民主党政権の責任は、とても重い。他方で一部のメディアが取り上げている「流用」については、それ自体が誤解であるものもあり、超党派で震災復興を進めてきた当事者として、きちんと反論しなければならないものもある。(同)

などと述べた上で、

「政策背番号をつけて、一円の無駄も許さない。」これは、予算を作る責任者としての絶対に欠かしてはならない視点だ。(同)

と訴えている。ぜひ、有言実行を期待したい。

■国は「震災復興基本法」の理念に立ち返れ

震災から3ヶ月後に公布・施行された「東日本大震災復興基本法」には基本理念の一つとして以下のような定めがある。

被災者を含む国民一人一人が相互に連帯し、かつ、協力することを基本とし、国民、事業者その他民間における多様な主体が、自発的に協働するとともに、適切に役割を分担すべきこと。

(第一章総則「基本理念」第二条の三)

国民一人一人は被災地のためを思い、少なくはない税金を払い続けることを受け入れた。それはまさに「相互に連帯し、協力」することにほかならない。その貴重な税金を、国がどのような基準で使用すべきかについても基本法の中に定められている。

国は、被災者を含めた国民一人一人が東日本大震災からの復興の担い手であることを踏まえて、その復興に係る国の資金の流れについては、国の財政と地方公共団体の財政との関係を含めてその透明化を図るものとする。

(第二章基本的施策「復興に係る国の資金の流れの透明化」第九条)

各自治体などにばらまかれた復興予算の総額は1兆円を超える。もちろんその中には被災地のために有用だったものもあるだろう。国にはそれも含めてすべての資金の流れを透明化し、国民に説明をする義務がある。血税の返還は1千億円程度で納得してはいけない。

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