長期の「性暴力」認めた東京地裁判決。社会福祉法人グローは控訴せず「防止できなかったことを心から謝罪」

社会福祉法人グローは原告に対し、「(性暴力やセクハラなどについて)防止できなかったことについて心から謝罪いたします」と、声明で述べた。
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東京地裁
Yuichi Yamazaki via Getty Images

北岡賢剛・前理事長の長年にわたる元職員ら2人への性暴力やセクハラ、安全配慮義務違反があったとして、計660万円の損害賠償を認めた東京地裁判決を受け、社会福祉法人グロー(滋賀県近江八幡市)は11月8日、控訴しないと発表した

同日公表した声明では、原告らに対して謝罪。判決について、後日記者会見を開く方針だ。

 

◆判決、声明の内容は

元職員の女性ら2人が性暴力やセクハラを繰り返し受けたとして、北岡前理事長とグローに計5254万円の損害賠償を求めていた裁判。

東京地裁(野口宣大裁判長)は10月24日、長年にわたって北岡前理事長による性加害行為があったこと、グローにも安全配慮義務違反があったことを認め、計660万円の支払いを命じた。

グローは声明で原告に対し、性暴力などについて、「防止できなかったことについて心から謝罪いたします」とコメント。

「ハラスメントは人権を侵害する断じて許されない行為であり、高い人権意識と倫理が求められる社会福祉法人として本件事案が発生した責任は重大であると認識しています」とした。

再発防止のため、▼ハラスメント防止に関する取り組みなどの推進▼職員が安心して働ける職場環境づくり▼役員体制の見直しや、弁護士や有識者等により構成する外部評価の仕組みの整備などによる、法人運営のさらなる健全化を図っていく、としている。

 

声明全文

法人が提訴された裁判について

まず、法人として、2020年11月に法人前理事長及び法人に対して提訴された訴訟事案に関し、法人に対する訴えを起こしていた原告に対して、本件事案を防止できなかったことについて心から謝罪いたします。

また、本件事案により、法人が提供するサービスを利用いただいている皆さま及びそのご家族の皆さまを始め、法人の運営をご支援いただいている方々に、多大なるご心配、また不信と不安を与えたことを重ねて深くお詫びいたします。

10月24日、東京地裁において法人の安全配慮義務違反が認定され440万円の支払いを命じる判決があり、法人はハラスメント対策として一定の措置を取っていたが、法人代表者を対象とする規程がないこと、代表者に対する講習等を行っていないこと等を理由として上記賠償責任を負うとの判断がなされました。

前記原告の法人に対する請求に係る判断部分につき、当該原告及び法人ともに控訴をしなかったため、当該判断部分については第一審判決が確定し、両者間の訴訟は終了しました。

法人は、この判決を真摯に受け止め、ハラスメントは人権を侵害する断じて許されない行為であり、高い人権意識と倫理が求められる社会福祉法人として本件事案が発生した責任は重大であると認識しています。

法人は、本件事案の発生を踏まえ、二度とこのようなことが起きないよう、ハラスメント防止に関する取り組み等を継続して推進し、職員が安心して働ける職場環境づくりを行っていきます。さらに、事業運営に万全を期するため、役員体制の見直し及び弁護士や有識者等により構成する外部評価の仕組みの整備等により、法人運営のさらなる健全化を図っていく所存です。

2024年11月8日

社会福祉法人グロー 理事長 牛谷正人