法律上同性カップルの結婚が認められないのは違憲だとして、性的マイノリティの当事者が国を訴えている「結婚の自由をすべての人に」裁判は11月8日、東京1次訴訟の原告が最高裁に上告した。
東京1次訴訟では東京高裁(谷口園恵裁判長)が10月30日に、同性カップルが結婚するための法律が設けられていないのは性的指向を理由にした差別だとして、違憲判決を言い渡した。
原告はこの判決を「画期的かつ歴史的で、高く評価できる」としたものの、不十分な点もあるとして上告に踏み切った。
原告が上告する理由
原告側が不十分だとするのが、東京高裁が「憲法24条1項は同性カップルと異性カップルの婚姻を同じように保障している」と明言しなかった点だ。
東京高裁は全国で各地で行われている「結婚の自由をすべての人に」訴訟で初めて、憲法24条1項について違憲/合憲の判断をしなかった。
原告代理人の上杉崇子弁護士は8日に東京・霞ヶ関で開いた記者会見で「東京高裁が判断しなかったのは、憲法24条1項に触れなくても違憲を導けるとしたから」と説明。そうであっても、この条項について違憲と判断することは原告にとって重要な意味があると述べた。
「今回の判決では、同性カップルも異性カップルと同じように、夫婦、配偶者としての人的結合関係を作れるとはっきりと示されています」
「私たちは、憲法24条1項は異性カップルと同じように同性カップルにも婚姻の自由を保障していると主張してきました。裁判所でも同じ判断が示されることは、同性カップルや性的マイノリティの尊厳の回復にとって、象徴的で重要だと考えています」
原告が不十分だと考えるもう1つの点は、結婚とは別制度を作ることで差別的取り扱いが解消できるという可能性を完全に否定しなかったことだ。
上杉弁護士は別制度について、「わける理由がそもそもない」と述べた。
「高裁判決は、異性カップルと同性カップルは等しい存在で、等しく人的結合関係を営んでいるとしています。そう認められている以上、制度も等しくあるべきです」
「別制度には、差別的な意思が潜んでいると感じます。かつてアメリカでは『分離すれども平等』といって白人と黒人の制度をわけていましたが、今では否定されています。等しい存在だと認められている以上、同性カップルを別制度にする理由はないと思います」
原告の小川葉子さんは「私たちはもう60代で、健康面でも不安を抱えています。自分たちを守るため、同性愛者も結婚できるという希望を若い世代が持てる国になるためにも、最高裁にはもう少し踏み込んだ判決を期待している」と述べた。
原告は、最高裁での明確な違憲判決が、国会での法整備を後押しすると考えている。地裁・高裁で8件の違憲判決が言い渡された後も、国会で結婚の平等のための法整備をする動きは見られない。
小川さんは「最高裁での高裁以上の判決が、国会が動くための礎になってほしいと強く思っています」と語った。
小川さんのパートナーの大江千束さんも「国会での立法を直ちに進めるような判決を」と求めた。