ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題で、被害を実名で明かしている元所属タレントらが6月5日午後に国会を訪れ、「児童虐待防止法」の改正を求めて主要6政党(自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産)に3万9326筆の署名を提出した。
署名キャンペーンを巡っては、元ジャニーズJr.の橋田康さんが5月下旬の記者会見で署名運動の開始を発表。
「自分が経験した環境も含めて考えると、現在の法律は子どもたちを守るには十分ではないと感じる」と述べ、同法改正の必要性を訴えていた。
法改正で求める2つのポイント
5日は橋田さんのほか、共同の発起人であるカウアン・オカモトさんと二本樹顕理さんも国会を訪問し、各政党の担当者に署名を手渡した。
児童虐待防止法の改正を巡っては、立憲民主党が5月下旬、同法の改正案を単独で衆議院に提出している。この改正案は、主に次の二つが柱となっている。
一つ目は、対象となる行為者の拡大だ。現在の児童虐待防止法は、虐待の行為主体を「保護者」と定めている。
改正案では、保護者だけでなく、芸能事務所の経営者など経済的・社会的に強い立場にある第三者からの、地位を利用した子どもへの性暴力も「児童虐待」に当たると規定する。
もう一つは、地位を利用した第三者による虐待の疑いを発見した人に対し、警察に通報することを義務付ける規定が盛り込まれた点だ。
これにより、加害者が経済的・社会的に強い立場にある第三者の場合にも、虐待の疑いがあれば周囲の人による通報が義務化されることになる。
キャンペーンでは、立民が示した法案に触れ、「見て見ぬふりを止めることが、さらなる被害の抑止につながる」として賛同を呼びかけていた。
「僕らの過去は戻らない」
署名の提出後、報道陣の取材に応じたカウアン・オカモトさんは、「性被害自体も辛いですけど、自分に嘘をつかなければいけない、(被害を)隠さなければいけないというのは本当に辛いこと」だと強調。
「僕らの過去は戻らないので、未来の子どもたちにできることとして、被害者ではなく加害者が怖がる法律を作れたらいいなと思っています」と述べた。
二本樹さんは、「賛同者の方たちからの思いを反映させる形で、子どもたちが社会の中で完全に守られるための法整備を求めていきたい」としている。
【取材・執筆=國崎万智(@machiruda0702)/ハフポスト日本版】