東京都渋谷区の公式ウェブサイトが1月3日以降、断続的に閲覧しづらい状況になっている。同区は「国際ハッカー集団”アノニマス”を名乗る不特定の団体または個人による攻撃を受けた」とし、警察にも相談し、復旧作業に取り組んでいる。今回のような通信障害は初めてという。
アノニマスとみられるTwitterアカウントは1月3日、「渋谷区がホームレスのシェルターを閉鎖するので、私たちは区のウェブサイトを落とす」と投稿。「美竹公園再開発」「神宮通公園強制排除」のハッシュタグが付けられており、区のホームレス対応への抗議だと主張している。
渋谷区は都市再生のための開発事業として、2022年10月にホームレスの人たちが寝泊まりしていた区立美竹公園を利用禁止にし、仮囲いをしたと発表していた。公園で生活する人に対しては区で借り上げた民間アパートを案内しているが、この時点ではまだ公園内にとどまる人がいたという。そこで12月に仮囲いの追加設置を行ったという。
これに対して路上生活者の支援団体「のじれん」は、声明で渋谷区の対応を批判。アパートの案内についても「まさに『追い出しのための福祉』そのものです。短い利用期間が過ぎたあとの生活への不安から、利用に至らないのはもっともなことです」と訴えていた。
アノニマスのTwitter投稿を受けて、渋谷区は1月4日に報道向けリリースを発表。
「路上生活者に対して、他自治体よりも手厚いサービスを行っています。またシェルターは公園ではなく、個別のアパートを用意していることを改めてお伝えいたします」と反論した。
渋谷区広報コミュニケーション課の担当者は「区独自の事業として、住まいを提供するだけでなく、その後の生活支援までを行っている」と説明する。区が借り上げた民間アパートの個室に3~6カ月住めるようにし、食事も用意する。NPO法人のスタッフが定住先のアパート探しなどの手伝いもするという。
区が2016年4月から2022年3月に巡回で延べ2581人に声をかけたところ、88人がシェルターに移り、62人がアパートに入居したという。
【UPDATE】渋谷区の広報担当者から質問への返信があったため、加筆しました。(2023/1/6 10:40)