11月8日夜、月の全部が地球の陰に入る「皆既月食」が日本全国で起きる。さらに小笠原諸島を除く日本のほとんどの場所で月が天王星を隠す「天王星食」が起こる予定だ。皆既月食中に惑星が隠れるのは442年ぶり。ものすごく珍しい現象だ。
皆既月食が起きるのは、日本全国で午後7時16分から午後8時42分まで。一方、天王星食は各地で時間が異なる。
国立天文台の解説資料によると、札幌や仙台では皆既月食が終わってから天王星食が始まるため、同時には観測できない。
主に東京より西側の地域では以下の時間帯に、皆既月食と天王星食が同時に観測できるという。
東京:午後8時40分53秒〜同42分
京都:午後8時31分53秒〜同42分
福岡:午後8時22分12秒〜同42分
那覇:午後8時13分12秒〜同42分
月食と天王星食が起きる詳しい時間帯や、写真の撮り方を解説しよう。
■皆既月食の開始時刻は?
月食は、月が地球の影に入ることによって起こるが、今回の月食は、地球の影によって月全体が隠される「皆既月食」。
今回の皆既月食は、日本全国で部分食の始まりから部分食の終わりまでを見ることができるという。
国立天文台によると、部分食の始まりは午後6時9分からで、皆既食の始まりは午後7時16分。
皆既食は1時間26分続き、最大となるのは午後7時59分。午後8時42分に皆既食が終わり、午後9時49分に部分食が終わるという。
この時間は全国どこでみても同じだ。
また、皆既となった月は「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見える。
理由は、地球の周りには大気があり、太陽光が大気を通過する時に波長の短い青い光は通過することができないが、波長の長い赤い光は大気を通過することができるため、通過したかすかな赤い光が皆既食中の月面を照らして月が赤黒く見えるのだという。
■天王星食とは?
惑星食とは、月が惑星の手前を横切るために、月によって惑星が隠される現象のこと。天体が月の後ろに入りこむ現象を潜入、再び出てくる現象を出現と言う。
地球を除く全ての太陽系の惑星は、見かけ上、月に隠されることがあり、それぞれ隠される惑星の名前を前に付けて、「水星食」、「金星食」、「火星食」、「木星食」、「土星食」、「天王星食」、「海王星食」と呼ばれる。
今回の月食の最中には小笠原諸島を除く日本各地で月が天王星を隠す「天王星食」が起こる。
天王星は約6等級で、薄い青色に見える惑星。条件が良い空でも肉眼で見える限界の明るさの惑星であるため、双眼鏡や望遠鏡を使って探すのがいいという。
国立天文台によると、皆既食中に惑星食が起こるのは非常に珍しい。1580年7月26日の土星食以来442年ぶりで、次に起こるのは2344年7月26日の土星食だ。
■写真を撮るには?
月食を写真に撮ることは可能だが、以下の5つのことに注意する必要がある。
①ストロボをオフにする
②ピントを合わせる
ピントを手動で調整できるカメラの場合には、「無限遠」にピントが合うよう調整する。
③なるべく望遠で
スマートフォンなどのカメラでは、月が非常に小さく写り、欠けた様子や表面の模様がわかりづらい場合が少なくないという。
④露出を低く調整する
自動設定で月の写真を撮影すると、カメラが自動的に背景の夜空に明るさを合わせてしまうが、そうすると月は強い光とハレーション(光のにじみ)に埋もれてしまって、欠けた形や表面の模様が写らなくなる。
露出の調整ができるカメラの場合、露出を低く調整することで、露出オーバーにならずに撮影できる場合があるという。
⑤カメラを固定する
カメラを固定しない場合レンズが望遠になるほど手ぶれは拡大され、写真が大きくぶれてしまうため、手ぶれしないようにカメラを三脚などに固定するのがいい。
天王星食の撮影は月食の撮影よりも難易度が上がる。天王星を写真に写すためには、望遠レンズなどを使って撮影をすることが必要になる。
また、部分食中の月は天王星に比べてとても明るいため、天王星が写るように露出を調整すると月は露出オーバーになってしまう。一方、皆既食中は十分に露出ができるため天王星が写りやすくなるという。
国立天文台では、東京都にある三鷹キャンパスから皆既月食のライブ配信を予定している。