ニューロダイバーシティで誰もが働きやすくなる職場を。発達障害を含む「脳の多様性」尊重する職場づくり推進プロジェクトが発足

発達障害を含む脳の多様性を尊重する職場づくりへの取り組みが始まった。武田薬品工業による「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」だ。「ニューロダイバーシティ」とは一体何か?
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日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト公式サイトより

2022年10月10日「世界メンタルヘルスデー」に、「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」が発足。

企画運営は製薬会社大手の武田薬品工業株式会社(本社:大阪市)で、発達障害の特性に合わせて職場の環境を整えることによって、誰もが働きやすい社会を目指す。  

 

違いを「優劣」ではなく「多様性」として尊重

ニューロダイバーシティで、誰もが働きやすくなる職場を━━。

立ち上げから3日経った10月13日、同プロジェクトの発表会が開催され、日本ではまだあまり知られていない「ニューロダイバーシティ」の考え方を通して、発達障害を含む多様性を尊重する職場づくりの取り組みが紹介された。

発表会には発達障害のひとつである自閉症の研究に取り組む鳥取大学の井上雅彦教授が登壇。

「『ニューロダイバーシティ』とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)の2つの言葉が組み合わさって生まれた言葉で、『脳や神経、それに由来する特性の違いを多様性と捉えて互いに尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう』という考え方」だと解説した。

さらに、「『発達障害』と『定型発達』の特性は延長線上にあり、発達障害のある人が働きやすい職場環境は、働きにくさを感じるすべての人がメリットや価値を感じることができる環境になる」と、本プロジェクトに期待を寄せた。

武田薬品工業の担当者は、「すべての脳や神経には違いがあり、例えば発想力が豊かな人はアイデアが生かせる部署に、集中力がある人には注意力が必要なタスクを依頼するなどで職場のイノベーションへの貢献につながります。まずはニューロダイバーシティの理解を共有するところから、その一歩を始めたい」と話した。

また、経済産業省の川村美穂経済産業政策局経済社会政策室室⻑からは、発達障害のある人が、環境調整によって雇用の場で実力を発揮している国内外の事例などが紹介された。

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鳥取大学大学院医学系研究科の井上雅彦教授(左上)、 経済産業省経済産業政策局経済社会政策室の川村美穂室長(右上)、 武田薬品工業の古田未来乃さん(左下)、 森威さん(右下)
日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト

日本橋から意識、行動の変化を

本プロジェクトでは「ニューロダイバーシティ」をより多くの人に知ってもらうため、日本橋にゆかりのある企業や団体を巻き込みながら、次の3つの活動に取り組んでいく。

①発達障害のある人に対するインクルーシブな社会的土壌の創出
②発達障害のある人との相互理解を促進するツールの配布
③ワークショップなどの啓発活動の企画・主催

発達障害といっても、診断されている人、診断されてはいないけれど特性による困りごとを抱えている人など、その状況は多様だ。

もとより発達障害の有無にかかわらず、人はみな一人ひとり違う。障害があってもなくても、また、そのことをオープンにしていてもいなくても、あらゆる人にとって働きやすく暮らしやすい社会となることを、このプロジェクトがその大きな契機となることを、期待したい。 

(取材・文:朗子 編集:毛谷村真木/ハフポスト日本版)  

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