アイドルグループ欅坂46の元メンバーで俳優の今泉佑唯さんが10月26日、自身のインスタグラムを更新し、自身や家族に対する過剰な撮影行為に耐えられないなどとして、芸能活動からの事実上の引退を表明した。
投稿では「今後、今泉佑唯として活動することは一切ございません(中略)。一人の女性として、一人の人間として、これからは心穏やかに幸せな道を歩みたいです」とつづり、引退を伝えた上でファンに感謝の気持ちを伝えた。
今泉さんは続けて、「なにも悪くない子どもまでもが批判の対象になってしまうのは親として辛かった」と前置きし、「いつか子どもも巻き込んでしまうかもしれない」という不安に駆られていたことを赤裸々に告白した。
問題となっている著名人への過剰な撮影行為。その中での今泉さんの投稿は反響を集めている。今泉さんが綴ったことから浮かび上がる問題点とは何か。
今泉佑唯さんが吐露した「なによりも辛かった」こと
今泉さんは2021年7月に第一子を出産したことを明らかにし、その後芸能活動に復帰。
インスタグラムの投稿では「こうして発信することは最後になるので素直な気持ちを綴らせてください」とした上で、「昨年、たくさんの方が協力をしてくださりお仕事に復帰することができました。舞台に立ったとき、またあの景色を見られたことが 本当に嬉しくて、大好きな場所で、大好きな方々と、 ここからまた頑張りたいと思っていました」と率直に伝えた。
苦しい胸の内を明かしたのは、この後の文章だった。
「その一方で、週刊誌の記事で生活のたった一部を切り取ってそれが全てかのように書かれてしまうこと、事実ではないことが拡散され続けることが多く、悩まされていました」と本音を告白。
続けて、「私と子どもの父親である彼に対し、世間の皆様の批判の目がいくことは許容できますが、なにも悪くない子どもまでもが批判の対象になってしまうことは親としてなによりも辛かったです」などと苦しい思いを吐露した。
また、自身が突発性難聴となったことを明かし、その理由を次のように綴っていた。
「数ヶ月前から週刊誌の方だと思われる車が自宅前に停まっていたり、車や徒歩でついてこられたりすることが多く、気の抜けない毎日がストレスになっていました。そんな日々を送る中で、いつか子供も巻き込んでしまうかもしれないという不安も大きくなっていきました」
こう綴った上で、「穏やかな毎日を送りたいと思えば思うほど、私がこのお仕事を続けている限りそれは叶わないのだと気付きました」と自身の思いを伝えた。
投稿ではこの後、今泉さんが産婦人科に通院していたことが明かされたが、「デリケートな事を、知らない人に執着されることは本当に恐ろしく、普通に生活しているだけなのにどうしてこんなに生きづらいのだろうと、日々神経がすり減る思いです」と苦しい胸の内を明かした。
「怖さを発信しないというのは...」今泉さんが見過ごせなかったこと
問題となっている著名人への過剰な撮影行為。その影響が彼らの子どもにも及ぶことへの危うさ
週刊誌による過剰かつ執拗な撮影行為や報道に頭を悩ます著名人は少なくなく、今回の今泉さんの投稿は、著名人を取り巻く環境に対する問題提起となった。
過去にも声をあげた著名人はいる。フリーアナウンサーの新井恵理那さんは10月18日、自身のインスタグラムを更新し、自身に関する週刊誌の報道について「間違った内容も多くとても不快に思っています」などと心境をつづった。
「今回のことは盗撮されて勝手に書かれたもので、わたしとしては怖いです。お相手のこともありますし、間違った内容も多くとても不快に思っています」とし、今回の今泉さんの投稿と同様に、“盗撮”という言葉を用いられていた。
「著名人」としての立場を踏まえ、自身に関する報道は許容できても、その子どもに対する執拗で過激な撮影行為には声を上げている人もいる。
俳優の賀来賢人さんは2020年4月、Twitterで「何回でも言いますが、盗撮は犯罪じゃないですかね??」とツイート。21年5月にはインスタグラムで以下のように綴った。
「FRIDAYさん、とか女性自身さんとか、週刊女性さんとか、盗撮するのは100万歩譲って許します。しかし、もし次、私の子供を盗撮した記事を例えモザイクをつけたとしても、載せた場合、私は本当に怒ります。もうやめてくれませんか?一応、言うのはこれで最後にします」
歌手で俳優の福山雅治さんは2021年7月、写真週刊誌に自身の子どもの写真が掲載されたことについて、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で言及し、「黙っておくことができない」などと自身の考えを述べた。
福山さんは「子どもの写真を撮られるということにおいて、そして、それが掲載されるということ、かつ販売物となって世の中に出ていくということにおいて、黙っているということはできない」と伝えていた。
////
今回、今泉さんが表明した強い決意が示したもの。それは、著名人のプライバシー、そして芸能活動を取り巻く人々の人権意識のあり方を考えるべき時がきたということではないだろうか。