SFファンタジーの金字塔『E.T.』の公開から、2022年で40年を迎えた。スティーヴン・スピルバーグ監督の代表作の一つとしても知られる本作。地球に取り残された宇宙人E.T.と子どもたちの友情を描いたストーリーは、公開後に世界中で大ヒットを記録した。
主人公の少年エリオットを演じたヘンリー・トーマスさんは、公開当時11歳。大ブレイクを果たした元子役は、あれから40年たった今、何をしているのか?当時と今の写真で振り返る。
オーディションで熱演 ⇒ 監督はその場で「合格」
エリオット役に抜擢されたトーマスさんは、『E.T.』で英国アカデミー賞の最優秀新人賞にノミネートされた。
オーディションでは、唇を震わせながら涙を流してセリフを読む名演技を披露。当時の映像には、スピルバーグ監督がトーマスさんにその場で合格を告げる瞬間が記録されている。
E.T.後も、数々の映画やドラマに出演した。
『ウィンター・ローズ』(1984年)では、ジーン・ハックマンさんと親子役を演じた。SF映画『ファイヤー・イン・ザ・スカイ/未知からの生還』(93年)に出演したほか、94年には『レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い』でブラッド・ピットさんやアンソニー・ホプキンスさんとも共演した。
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)では、主演レオナルド・ディカプリオさんの幼馴染役を務めた。2018年に始まったNetflix配信のホラードラマ『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』にレギュラー出演するなど、現在も俳優として活躍を続けている。
▼エリオット役オーディション時の映像
「人間の普遍的な思いやりを表現」
公開から40周年を迎えた今年、映画の4KウルトラHDが新たにリリースされるのに合わせて受けたCNNのインタビューで、トーマスさんは撮影当時を振り返った。
当初は、エリオット家に住むようになった小さな宇宙人のことを理解できなかったという。「子どもの頃は『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』に夢中になっていました。E.T.の脚本をもらった時、レーザーの戦闘も宇宙船もないの?と思いました」
「でも、うまくいきました。なんとかなるものですね」
劇中ではE.T.が特殊能力を使い、エリオットの傷を癒す場面がある。この脚本を最初はばかげていると感じたものの、撮影が始まるとスピルバーグ監督の力によって、その考えは変わっていったという。
「監督は子どもを見下すのではなく、対等に扱ってくれていると相手に感じさせることができた。それは子どもにとって大切なことなのです。特に、大人の世界で、大人の仕事をしている子どもにとっては」
スクリーンに映る自分を見ることができず、『E.T.』も20年以上、視聴していないというトーマスさん。本作で大ブレイクを果たしたことで世界的に名前が知られ、見知らぬ人から声をかけられるようになり戸惑ったという経験も明かした。
それでも、『E.T.』への思い入れは強いようだ。
「この映画は、人間の普遍的な思いやりを表現しています。私たちはみんな、自分の中に、育ての親のような存在を持っていますよね?この映画は、それを教えてくれるんだと思います。若い頃に戻ったような気持ちにさせてくれるんです」
「この業界で成功することがいかに稀なことかを知っている。だからこそ今、よりいっそう感謝しているんです。ほとんどの映画は数年で消えていき、誰も覚えていないけれど、この作品はずっと残り続けていますから」