腹部に激痛「アニサキス」の食中毒、10月が最多。3つの予防法は?

厚生労働省は、アニサキスは食酢、塩漬け、醤油、わさびでは死滅しないとして、刺身やしめ鯖などの調理の際も目視確認が重要だと呼びかけています。
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しめ鯖(イメージ写真)
MIXA via Getty Images

10月は「アニサキス」の食中毒に要注意。

厚生労働省によると、2019年から2021年までの3年間で、アニサキスによる食中毒の発生状況を月別に見ると、10月が最多の135人を記録。過去にはタレントの板野友美さんが「出産より痛かった」と報告しています。そんなアニサキス食中毒について、予防法を解説します。

■アニサキスとは?

厚労省などによると、アニサキスとは寄生虫の一種。魚介類に寄生した後に、クジラやアザラシなどの体内に入ってそこで寄生する。

幼虫はサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生しており、日本近海で獲れるものでも160種類を超えるという。寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られている。アニサキスの幼虫は長さ2〜3cm、幅は0.5〜1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えるという。

食中毒「アニサキス症」は、アニサキス幼虫が寄生している魚介類を生に近い状態で食べることで、 胃壁や腸壁に刺入して引き起こされる。

国立感染症研究所は、日本では刺身や寿司など海産魚物を生で食べる習慣があることから、アニサキス症が諸外国に比べて圧倒的多数の症例が発生しているという。

アニサキス幼虫が胃壁に刺入して生じる「急性胃アニサキス症」では、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じる。このほか、アニサキスが抗原となり、じんま疹やアナフィラキシーなどのアレルギー症状を示す場合もあるという。

アニサキス食中毒に対する効果的な治療薬はなく、治療法は「胃アニサキス症」では胃粘膜に入り込むアニサキス幼虫を摘出するというものだ。

■3つの予防法とは?

厚労省では「一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません」と警告した上で、アニサキス症を予防するために、以下の3つのポイントを訴えている。

(1) 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。


(2)内臓を生で食べないでください。


(3)目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

さらに冷凍・加熱が有効だとして、マイナス20℃で24時間以上冷凍するか70℃以上または60℃で1分加熱することを呼びかけている。

■過去には板野友美さんも…

板野さんは6月26日に自身のYouTubeチャンネルで「激痛に襲われ緊急で病院に行くことになりました」と報告。胃のあたりが痛すぎて夜も眠れなくなったという板野さん。病院で胃カメラを呑んで検査したところ、胃からアニサキスが見つかり、摘出したという。病室で板野さんは「出産より痛かった」と振り返っていた。