物価高が続くなか、20代の約半数の貯金額は「100万円未満」──。
貯金アプリ「finbee(フィンビー)」を開発・運営する「ネストエッグ」が10月14日に「貯金・お金」に関する調査結果を公表した。調査は9月27~29日、インターネットで行い、有効回答は20〜60代の計1000人。
調査は、10月17日の「貯蓄の日」にちなんで実施された。「貯蓄の日」は1952年、日本銀行が事務局を務める「貯蓄増強中央委員会」(現在の「金融広報中央委員会」)が貯蓄に対する関心を高め、貯蓄の増進を図ることを目的に制定した。
今回の調査結果によると、2021年に比べ、20代の貯金額が減少。40代~60代では300万円以上の貯金が増加した。20代の約半数の貯金額は「100万円未満」にとどまったという。
▼世帯貯金額の推移
あらゆるものの価格が上昇する中、同社は「物価高の影響により、特に若年層の間で貯金に回せる額が減っていることがうかがえる」と分析している。
1カ月の平均貯金額は2万8076円で、昨年に比べ2万円以上減少した。また、全体の平均月収も昨年より2万4765円減少したという。
▼2022年度支出内訳
貯金の「目的」についてたずねた調査では、全世代で「生活費」が最も多かったものの、「資産運用」が2021年に比べて増加。特に30代と50代では約2倍となった。同社は「収入が伸び悩むなか、資産を増やすことへの関心の高さがうかがえる」としている。
調査結果からは、物価高の貯金への影響は特に若年層に大きく、貯金額も昨年より減少していることが明らかになった。
物価高、いつまで続く? ⇒ 問われた日銀総裁の答えは…
この物価高の見通しについて、日銀の黒田東彦総裁は10月17日午前の衆院予算委員会で見解を示した。
自民党の伊藤達也議員から「この物価高、いつまで続くんでしょうか。景気がよくならない物価高、コストプッシュインフレは国民生活に大きな影響を与えています」と問われ、黒田総裁は「エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、本年末にかけて、上昇率を高める可能性が高いというふうに考えております」と答弁。
その背景については、「主として、国際商品市況や為替円安の影響によって輸入品価格が上昇していることが影響しております」とした。
一方で、「年明け以降は、こうした海外からのコストプッシュ要因の押し上げ企業が減衰することで、物価上昇率のプラス幅は縮小していくため、来年度以降の消費者物価は2%を下回る水準まで低下していく」との見通しを示した。
その上で、「現在は経済を支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現することが必要であり、金融緩和を継続することが適当である」と述べ、大規模な緩和策を続ける姿勢を改めて示した。