「買い物でSDGsに貢献できる」アプリのリリースを目指す「株式会社STACTs」が現在クラウドファンディングを実施している。
まず最初に手がける予定のSDGsリワードアプリ「trophee」では、アプリ上でSDGsフレンドリーな企業の商品だけを紹介、そのアプリを経由してネットで買い物をすると、買い物額の5〜10%程度が現金で戻ってくるという仕組みだ。
同社の目標は「なんちゃってSDGsをこの世からなくす」こと。買い物でSDGsを「知っている」から「行動する」へ変え、持続可能な社会にもっと多くの人が貢献できる仕組みをつくろうとしている。
代表の滝島大貴さんは、公認会計士として、過去にESG投資などを積極的に行う投資ファンドで働き、企業と株主などの資本ステークホルダーの関係を間近で見る経験をしてきた。その中で湧いてきた疑問がこの事業の目標にそのまま反映されているのだという。
「大企業を中心に、SDGsへの取り組みは『コスト』と見なされ『とりあえず言われたからやっておく』ような意識を感じていました。そして、発信する相手も株主や投資家がメインでした。
SDGsのような社会全体を変える本質的な目標達成のためには、企業が先導する形で自発的に自社の取り組みを紹介し、多くの人に共感してもらい、もっと大きなうねりにして行くことが必要です。
しかし、一般消費者が取り組みを知る機会や、それが消費行動に結びつくような動機付けをするサービスが圧倒的に足りない。すると企業側にとってもSDGsは売り上げアップの投資として積極的にはなれない、この悪循環を断ち切る必要があると考えました」(滝島さん)
一方、消費者側はどうか。知名度は向上し、SDGsに貢献する消費をしたい、環境破壊に加担したくないと考えている人は増えている。しかし、実際に行動に移している人はまだ少ないのが課題だ。
一つの問題は「サステナブルとアピールされている商品が本当かどうか?」知るすべが限られているということだ。
例えば、「地球にやさしい」などとアピールしている商品。しかし、例えば実際に環境負荷を減らすといえるほどの効果はなかったり、材料の調達で環境破壊をしているなど、イメージだけで実態が伴っていると言い難い「SDGsウォッシュ」と指摘されるような場合もある。
企業のIR情報などを見れば、得られる情報もあるが、毎日の買い物でそれを行うのは不可能だ。同社では、参加企業を「保証」することで、熱心な企業とエシカル消費をしたいが難しいと考えている消費者を結ぶ役割をする。
「企業側が『私はウォッシュではありません』と証明、発信することはなかなか難しいですよね。誰かがSDGsに対してどんな施策をしているか、レビューして、ある種のお墨付きを与えて消費者に発信することが必要です。それは、財務諸表を見て投資家に企業の行動を保証するという会計監査で行っていることにとても近く、我々公認会計士の知見を活かせる領域なのだと思っています」(滝島さん)
また、現金が戻ってくるキャッシュリワードで、そこまで熱心ではない消費者でも、サステナブルな消費行動につなげやすい仕組みを導入した。
現在実施されているクラウドファンディングは、この取り組みを多くの人に知ってもらい、賛同者を増やすことを主な目的にしている。「身近な消耗品をこのサイトで一括で掲載してもらえたら、ぜひ継続的に利用させて頂きたい」などの熱いメッセージが寄せられている。
「なんちゃってSDGsではなく本当に、本質的にSDGsが社会に実装されるための一助となるサービスに育てていきたいと考えています」(滝島さん)