調査では78年に結ばれた日中平和友好条約についても「あまり機能していない」「形骸化している」といった回答が半分近くを占め、国交正常化50周年の節目にも盛り上がりに欠ける現状が浮き彫りになった。
■日中平和友好条約も「あまり機能せず」「形骸化」
調査を実施したのはNPO法人の「言論NPO」。7月から8月にかけて18歳以上の男女1000人を対象に日中国交正常化50周年に関する認識などを聞いた。
その結果、2022年が国交正常化50周年にあたることを「知っていた」と答えたのは32.6%で、67.1%が「知らなかった」とした。0.3%が無回答だった。
そのうえで、現在の日本と中国の関係について尋ねたところ「とても満足」は0.4%、「どちらかといえば満足」は5.7%にとどまった。「どちらかといえば不満」が34.2%、「とても不満」が9.7%と比較的多かった。最多は「分からない」の49.2%だった。
「不満」と答えた人に具体的な理由を選んでもらう項目では、「政治的関係が友好でない」が40.3%と最も多く、「地域の平和と安定がいまだに実現していない」が30.8%と続いた。
調査では、「すべての紛争を平和的手段により解決」することなどを盛り込んだ平和友好条約について、現在も機能しているかどうかも聞いた。
これに対して「機能している」と回答したのは8.3%と、無回答を除けば最も少なかった。「あまり機能していない」が29.8%、「すでに形骸化している」が18.4%と、消極的な見方がおよそ半数を占めた。
■元外交官「顧みてもらわないと」
この結果を受けて言論NPOは28日、中国との関係構築に携わってきた元外交官を集めた座談会をオンラインで実施した。
このなかで、日中国交正常化交渉の際に外務省中国課の首席事務官を担った小倉和夫氏はこれからの対中外交について、「田中角栄さんも大平正芳さんも漢詩を詠んでいた。毛沢東は田中さんに屈原(「楚辞集注」)を送った。三人は漢詩で結ばれていた。今の日本の有力者で漢詩を口ずさんで中国と話をする人はいない」と指摘。「伝統文化を通じて親近感を持つことや、隣人であることを意識することが重要だ」と話した。
また、2006年から10年まで駐中国大使を務めた宮本雄二氏は平和友好条約について触れ、「不戦と平和が先人たちのバックボーンだ。日本側だけでなく中国側もそうだった。これは引き継がないといけない。今の世界は分断と対立に向かっている。それを回避することは日本にとっても明確な国益だ」と主張した。
2012年から16年まで駐中国大使を務めた木寺昌人氏は「国民の理解がなければ隣人との交渉は上手くいかない、というのは自明の理だ」と前置きしたうえで、「日本国民によりよく中国を理解してもらうには、中国に努力してもらわないといけない。日本における中国のイメージが悪くなるのは中国が色々なことをやるからだ。それは中国に改めてもらい、顧みてもらわないといけない」と話した。
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